抗エイズ薬2剤レジメンのP3試験で好結果    塩野義製薬

塩野義製は13日、同社がグラクソスミスクライン、ファーザーとともに資本参加するヴィーブ社が、長期作用型注射剤カボテグラビル(ヴィーブ社)と長期作用型注射剤リルピビリン(ヤンセン社)による2剤レジメンのP3試験(ATLAS-2M試験、FLAIR試験)で好結果を達成したと発表した。同試験結果は、2020 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI)で公表された。
 ATLAS-2M試験では、ウイルスが抑制された成人HIV-1感染患者を対象とした2群比較試験を行い、カボテグラビルおよびリルピビリンを8週間毎に注射する長期作用型注射剤レジメンが、同2剤4週間毎投与群に対して主要評価項目である48週時点のウイルス学的失敗基準(結漿中HIV-1 RNA ≥50コピー/mL)に合致する患者の割合について非劣性を達成した。
 Ø ウイルス学的失敗基準に合致する患者の割合(主要評価項目)=ü8間毎投与群:1.7%(9/522)、4週間毎投与群:1.0%(5/523)
 Ø ウイルス抑制効果を示した患者の割合=ü8週間毎投与群:94.3%(492/522)、4週間毎投与群:93.5%(489/523)
 Ø ウイルス学的失敗(血漿中HIV-1 RNA ≥200コピー/mL)を示した患者の割合=ü8週間毎投与群:1.5%(8/522)、8例中5例に耐性変異ウイルスが検出。ü4週間毎投与群:0.4%(2/523)、2例中2例に耐性変異ウイルスが検出
 Ø HIV治療満足度=ü 98%の患者が、毎日の経口治療法より8週間毎投与注射レジメンが好ましいと回答した。ü過去にATLAS試験で4週間毎投与注射レジメンを実施した患者の94%が、4週間毎投与注射レジメンより8週間毎投与注射レジメンが好ましいと回答した。
 FLAIR試験では、抗ウイルス治療の経験がない成人HIV-1感染患者を対象とした2群比較試験を行い、カボテグラビルおよびリルピビリンを4週間毎に注射する長期作用型注射剤レジメンが、1日1回3剤経口レジメンであるトリーメク群に対して主要評価項目である48週時点のウイルス学的失敗基準(血漿中HIV-1 RNA ≥50コピー/mL)に合致する患者の割合について非劣性を達成している。今回、96週時点においても非劣性が継続された。
 Ø ウイルス学的失敗基準(血漿中HIV-1 RNA ≥50コピー/mL)に合致する患者の割合(主要評価項目)=ü カボテグラビル+リルピビリン群:3.2%(9/283)、トリーメク群:3.2%(9/283)
 Ø ウイルス抑制効果を示した患者の割合=ü カボテグラビル+リルピビリン群:86.6%(245/283)、トリーメク群:89.4%(253/283)
 Ø ウイルス学的失敗(血漿中HIV-1 RNA ≥200コピー/mL)を示した患者の割合=ü 48週以降、新たにウイルス学的失敗を示した患者はカボテグラビル+リルピビリン群では見られず、トリーメク群では1例見られた(耐性変異ウイルスは未検出)。
 Ø HIV治療満足度=ü 48週時点で、90.8%の患者が、トリーメク等1日1回の経口治療よりも注射レジメンが好ましいと回答していたが、96週時点でも同様の傾向が継続した。
 ATLAS-2M試験(48週)およびFLAIR試験(96週)の結果より、長期作用型注射剤によりHIV感染患者がウイルス抑制を維持するために必要な投薬の頻度を大きく減らす可能性が示された。今後、患者の利便性のさらなる向上により、HIV治療におけるパラダイムシフトが起こる可能性が示唆されている。
 なお、カボテグラビルとリルピビリンの月1回投与の2剤レジメンについては、2020年内の承認取得に向けて、ヴィーブ社がFDAとの協議を進めている。

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