STOP感染症2020戦略会議(座長:賀来満夫 東北医科薬科大学特任教授)は10日、TKP新橋カンファレンスセンター(東京都千代田区)で、新型コロナウイルス感染症対策にかかる緊急提言「新型肺炎対策『STOP感染症・7つの約束』を発表した。
同戦略会議は、国土強靱化の観点から、地震や台風、水害など災害発生時の感染症対策や平時からの備えを検討し、政府等への政策提案を目的に昨年12月に発足したもの。
海外から多くの人が訪れ、国際的マスギャザリングとなる東京オリンピック・パラリンピックイヤーを、感染症対策の重要年度として位置づけており、委員には、感染症、災害医療、公衆衛生をはじめ、医学、歯学、薬学、看護学等、各分野の第一線で活躍する専門有識者が数多く名を連ねている。
今般、中国武漢市に端を発した新型コロナウイルスによる新型肺炎は、中国本土の死者が既にSARSを上回る800人を超え、わが国を含む多くの国々でも感染者が発生して大きな社会問題になっている。一方、アメリカでは、この冬のインフルエンザの感染者数が2200万⼈を超え、死者は1万2千人を突破するなど、新型コロナウイルスの報道にかき消されてあまり注目されてはいないが、インフルエンザの拡大も懸念されている。日本では昨年、3325人がインフルエンザで亡くなっており、感染症の主流であることに今も変わりはない。
コロナウイルスによる新型肺炎が話題になり、一般市民が感染症について大きな関⼼を持つようになった今こそ、国民一人ひとりが感染症についての正しい知識と情報を持ち、行政任せ、他人任せにすることなく、日頃から感染症対策を意識して行動する、“新生活活習慣”を身につける良い機会であると考えられる。
今回の新型コロナウイルス感染症では、既に多様な情報が、さまざまなルートで飛び交っている。こうした中、STOP感染症2020戦略会議では、専門家による正しい情報を、わかりやすいメッセージの形に整理し、最新の知見などを踏まえて、「STOP感染症・7つの約束」と題して、一人ひとりが感染症にどのように向きあっていくべきか、日常生活の心得を提示した。
新型肺炎対策「STOP感染症・7つの約束」の提言内容は次の通り。
◆約束1 正しく恐れる。
◆約束2 ウイルスや菌の顔と性格を知る。
◆約束3 “STOP感染「新生活習慣」”をつくる。
◆約束4 最新の対策技術にも目を向け情報収集する。
◆約束5 喉元過ぎても熱さを忘れない。
◆約束6 新型肺炎以外の感染症にも目を向ける。
◆約束7 防災用品だけでなく、感染症対策用品も備蓄を!
「STOP感染症・7つの約束」では、政府から感染症対策として発信されている、「正しい手洗い」、「咳エチケット」などに加え、手洗い場所が近くにない場合の「ウェットテイッシュの携帯や環境消毒の重要性」、「消毒剤の持続除菌性能という新しい考え方の重要性」、「免疫力を向上させる酪酸菌、乳酸菌などプロバイオティクス摂取の重要性」、「口腔ケアの重要性」「感染症備蓄という考え方」など、最新の知見に基づく感染症予防に向けた新生活習慣を提案している。
さらに、アメリカで今年の冬に2万人以上が亡くなっており、日本でも昨年3325人が亡くなっているインフルエンザを含め、史上空前のマスギャザリングが予想される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、蚊媒介感染によるデング熱など、「新型コロナウイルス以外の感染症」にも注意を呼びかけている。
加えて、“喉元過ぎても熱さを忘れず”と、新型肺炎が仮に収束し、メディアの報道熱が冷めても、感染症対策の新生活習慣の続行を呼びかけている。