小児も含めてゾフルーザの有用性活かしながら慎重投与を 日本臨床内科医会池松氏

池松氏

 日本臨床内科医会インフルエンザ研究班リサーチディレクターの池松秀之氏は、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の小児での治療後の耐性ウイルス発症率の高さが注視される現況に対して、「タミフルでも、国内外で小児治療後の高率な耐性ウイルス発症が報告されている」と紹介。
 その上で、「実際の臨床ではそれほど耐性ウイルスの発症は重要視されておらず、タミフルが投与されている」と報告し、ゾフルーザについても「小児への使用を全面制限するのではなく、耐性ウイルスが治療にどの程度影響を及ぼすのか、注意深くみていく必要がある」との考えを示した。23日に東京都内で開かれた塩野義製薬のメディアセミナーで講演したもの。
 池松氏によると、ゾフルーザ投与患者におけるI38変異ウイルスの検出頻度は、Ph2健常成人の感染例2.2%(4/182)、Ph3健常成人の感染例9.7%(36/370)、Ph3 12歳未満小児の感染例23.4%(18/77)、ハイリスク患者の感染例5.2%(15/290)。
 感染症学会の「小児への慎重投与への提言」についても、「乱用してはいけないという意味で、小児に絶対使ってはいけないと制限するものではないと解釈している」とコメント。「ゾフルーザのウイルスを早く減らして、家族への感染を防止するという観点からも見ていかねばならない」と訴求した。
 また、「ゾフルーザを服用していない83人のインフルエンザ患者のうち、3人から耐性ウイルスが検出された」との国立感染症研究所の報告にも言及。
 「このような症例が蔓延した場合の臨床的影響を懸念する声は無視できない」とした上で、「そのために全ての投与を止めるのは極端過ぎる」と断言した。
 さらに、「タミフルで救えなかった命もあり、作用機序の異なる薬剤の選択は重要」と述べ、「重症化したケースや、米国では発症後かなり時間が経ってから受診するケースが少なくなく、その中にゾフルーザの有用性がある」との見解を示した。

手代木氏


 一方、手代木社長は、セミナーに参加したメディアに対し、「ゾフルーザが効かない症例だけを取りあげるのではなく、タミフル、イナビル、リレンザ、ラピアクタが効かなかった症例も同水準で見て公平に薬剤間を比較した上で、この状況ではこうしたデータが出ているという報道をお願いしたい」と要望した。
 そのために、「我々もできるだけのデータを提供したい」と強調し、「10月末に市販後調査も含めたサーベイランスデータを発表する」ことを改めて報告した。
 今年度のゾフルーザの売り上げ目標では、「一応、昨年同様にマーケットシェア40%」を掲げているものの、MRには、「売上目標を与えず、I38変異と安全性の話をするのと、ディテール数をノルマにしている」と明言。
 「先生方に、患者さんの最も適したインフルエンザ治療を提供していただくのが我々の理想である」と訴えかけた。

会見の模様


   

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