抗菌薬セフィデロコル 院内肺炎P3試験で好結果     塩野義製薬

 塩野義製薬は3日、注射用シデロフォアセファロスポリン抗菌薬セフィデロコルについて、院内肺炎患者を対象としたP3試験(APEKS-NP)で主要評価項目を満たす結果を得たと発表した。同試験結果は、米国ワシントンDCで開催中の米国感染症学会週間「IDWeek 2019」で発表したもの。
 APEKS-NPにおいて、セフィデロコルが主要評価項目を達成し、カルバペネム系抗菌薬メロペネムの高用量投与と比較して非劣性を検証したことは、セフィデロコルが院内肺炎患者に対する新たな治療選択肢となり得る可能性を示す重要なエビデンスとなる。
 IDWeek 2019で発表されたAPEKS-NP試験結果の主な概要では、主要評価項目である投与終了14日後の死亡率は、セフィデロコル投与患者(1回2g、3時間点滴、1日3回)で12.4%(18/145例)、メロペネム投与患者(1回2g、3時間点滴、1日3回)で11.6%(17/146例)を示し、メロペネムに対して非劣性が検証された。
 また、主な副次評価項目である投与終了7日後における臨床効果や細菌学的効果、投与終了28日後の死亡率のいずれも、セフィデロコルはメロペネムと同程度の成績を示した。
 投与終了7日後における臨床効果(医師により肺炎が治癒したと診断された割合)は、セフィデロコル投与患者で64.8%(94/145例)、メロペネム投与患者で66.7%(98/147例)。
 投与終了7日後における細菌学的効果(医師により原因菌が除菌されたと判断された割合)は、セフィデロコル投与患者で47.6%(59/124例)、メロペネム投与患者で48.0%(61/127例)。
 投与終了28日後における死亡率は、セフィデロコル投与患者で21.0%(30/143例)、メロペネム投与患者で20.5%(30/146例)。
 投与終了7日後における臨床効果について菌種毎に追加分析した結果、院内肺炎の主要な原因菌となるアシネトバクター、緑膿菌、大腸菌および肺炎桿菌のいずれのグラム陰性菌においてもセフィデロコルはメロペネムと同程度の成績を示した。
 同試験において認められた有害事象の発生率は、両薬剤間で同程度であり、セフィデロコルについて新たな安全性の懸念は認められなかった。

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