田辺三菱製薬は4日、同社米国子会社のミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカ(MTDA)が開発中のヒト化抗RGMa抗体(開発コード:MT-3921)について、脊髄損傷の治療に対してFDAよりファストトラックに指定されたと発表した。
ファストトラック指定の授与により、FDAとの間でコミュニケーションを頻繁に行って開発に関する課題や疑義などの早期解決が可能となり、今後得られる臨床試験結果に応じて、プライオリティ・レビュー(優先審査)につながることが期待される。
MT-3921は、田辺三菱製薬が注力する神経疾患領域のパイプラインの拡充に寄与する全く新しい治療薬候補で、山下俊英教授(大阪大学大学院医学系研究科 分子神経科学/創薬神経科学)の基礎研究成果をもとに、両者の産学連携から生まれた。
現在、MTDAにおいて、米国・カナダ・日本においてMT-3921のPOC(Proof of Concept)試験となるP2試験(MT-3921-A01試験)を準備中である。
RGMaは、神経細胞の生存および神経回路の再生を阻害し、炎症作用の亢進にも関わり、脊髄損傷、脳梗塞、多発性硬化症などの神経疾患の病態を悪化させる役割をもつことが非臨床研究で明らかになっている。
動物を用いた疾患モデルでの検討は両者でそれぞれ分担して行われ、その検討の結果、ラットおよびサルの各種動物モデルにおいて脊髄損傷に起因する運動機能障害の改善効果および神経再生の促進効果が示された。
この山下氏の研究グループによる研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成を受けて実施された。