田辺三菱製薬は3日、遅発性ジスキネジアの治療薬として開発を進めている小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)阻害剤MT-5199(一般名:バルベナジン)について、国内P2/3相試験(J-KINECT試験)で良好な結果を得たと発表した。
J-KINECT試験は、中等度または高度の遅発性ジスキネジア患者にMT-5199を1日1回、最長48週間投与した際の有効性および安全性を、プラセボを対照として検証するランダム化ダブルブラインド比較試験である。
同試験の結果、有効性の主要評価項目である、投与6週後の異常不随意運動評価尺度(AIMS)合計スコアのベースラインからの平均変化量において、プラセボに比べ、有意な改善が認められた。
また、MT-5199の忍容性は概ね良好であることも確認されました。J-KINECT試験の詳細は、今後、学会または学術雑誌での公表を予定している。
田辺三菱製薬は、MT-5199を遅発性ジスキネジアの治療薬として、2021年度に、国内で製造販売承認申請を行う予定。 また、田辺三菱製薬が独占的開発・販売権を有するシンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、韓国においては、既に、2020年に承認申請を行っている。
遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬などの長期間服用によって惹起する不随意運動で、ドパミンの感受性増加等が原因と考えられている。症状は患者ごとに異なり、舌を左右に動かす、口をもぐもぐさせるなど顔面に主に現れるだけでなく、四肢や体幹部にも認められ、不随意運動により患者に心理的および身体的負担をもたらす。
また、重症になれば、嚥下障害や呼吸困難になる可能性がある。日本では現在、遅発性ジスキネジアの適応で承認された治療薬は存在しない。