大日本住友製薬の野村博社長は5日、年頭挨拶を行った。挨拶の要旨は次の通り
昨年は、多くの企業で従来と異なる働き方が進むなど、世の中の価値観が大きく変化した一年となった。当社でも、積極的に在宅勤務を活用し、各事業部門では、デジタル技術を活用した情報提供活動、感染に留意しつつ実験を推進した研究活動、勤務シフトの変更などを工夫して製品の安定供給に努めた生産活動等、業務ごとに柔軟な対応をしてきた。
中期経営計画2022では「環境変化に柔軟に対応する」ことを謳っている。今後も、いかに生産性を高め、成果を出していくのか、事業に大きな影響を与えうる環境変化への適切な応が必要と考えている。
2020年は、当社の成長に寄与する多くの成果があった。米国では、レルゴリクスの前立腺がん適応での承認と子宮筋腫適応での申請、ビベグロンの過活動膀胱適応での承認など、ロイバント社との戦略的提携により取得した将来のブロックバスター候補2 剤の計画が前進した。
また、年末にはマイオバント社がレルゴリクスの開発・販売についてファイザー社と提携するなど、製品価値最大化のための枠組みが準備できた。その他、米国では、パーキンソン病に伴うオフ症状治療剤「キンモビ」の承認・上市、国内では、非定型抗精 神病薬「ラツーダ」の承認・上市、2 型糖尿病適応でのイメグリミンの申請があった。
2021年は、ナパブカシンの結腸直腸がんに対する国際共同P3試験の結果が判明する他、米国ではレルゴリクスの子宮筋腫適応での承認や子宮内膜症適応での申請、RVT- 802 の先天性無胸腺症適応での再申請・承認を期待している。国内では、イメグリミンの承認を期待している。
また、再生・細胞医薬分野では、加齢黄斑変性の企業治験の開始など、iPS細胞を使った再生医療の実現化に向け全力を尽くす。フロンティア事業でも多くのプロジェクトを進めており、早期に業績貢献できるよう各プロジェクトを育成する。
当社の成長戦略の概要は、「ラツーダ」の北米での独占販売期間終了後の成長をレルゴリクスとビベグロンで補い、その間に自社品の研究開発を進め成長ドライバーにすることである。中期経営計画 2022において、目標を実現するための力として「ちゃんと(CHANTO) やりきる力」を掲げている。すべてが計画どおりに進むわけではないが、結果に一喜一憂せず、「CHANTO」完遂して事を為すために何をすべきかを考え、実行し、成果を出 していきたいと考えている。従業員が力を合わせることで、今年一年を当社にとって実りある素晴らしい年にすることができるものと信じている。
皆様が健康で充実した毎日を過ごすことができることを祈念したい。