ベーリンガーインゲルハイムは1日、特発性肺線維症(IPF)/進行性肺線維症(PPF)治療薬「ジャスケイド」(一般名:ネランドミラスト)について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)より成人患者向けの治療薬としての製造販売承認勧告を受領したと発表した。
同勧告は、生命を脅かす進行性肺疾患であるIPFおよびPPF と共に生きるEUの患者に、唯一の経口ホスホジエステラーゼ(PDE)4B に対する選択性の高い阻害剤を提供するための重要な一歩として注目される。
CHMPの承認勧告は、IPFおよびPPFを対象に実施された国際共同P3試験(FIBRONEERTM試験)結果によるもの。ネランドミラストは、FIBRONEERTM-IPF 試験およびFIBRONEERTM-ILD試験の2 つの臨床試験において、主要評価項目である52週時の努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量(mL)について、プラセボと比較して有意な呼吸機能の低下抑制を示した。
どちらの試験においても、重要な副次的評価項目は達成されなかったが、FIBRONEERTM-ILD試験では名目上有意な死亡率の低下が確認された。
また、FIBRONEERTMIPF試験における有害事象による投与中止率は、プラセボ群(13.0%)、ネランドミラスト18 mg 群(16.1%)、9 mg群(13.5%)で、FIBRONEERTM-ILD試験では、プラセボ群(11.7%)、ネランドミラスト18mg 群(11.3%)、ネランドミラスト9mg群(9.9%)であった。
EUでは、IPFとPPF 合わせて50万人以上の患者がおり、いずれの疾患も不可逆的な進行性の肺の線維化を特徴として、患者の呼吸機能を低下させる。IPF およびPPF はいずれも、多くのがんより致死率が高く、患者の半数が診断から5年以内に死亡する一方で、下痢や悪心、嘔吐などの副作用により多くの患者が既存治療の開始を遅らせている。
特にIPF患者では約半数が6カ月以内に治療を中止している。
◆シャシャンク・デシュパンデ ベーリンガーインゲルハイム医療用医薬品事業担当取締役兼取締役会会長のコメント
CHMPの承認勧告は、IPFとPPFに対する継続的な治療の実現のためには、有効性と忍容性のデータを有する治療薬が必要であるということを反映している。多くの一般的ながんよりも予後が悪いとされるこの疾患の患者さんのアンメットニーズに対応し、生命を脅かす肺の不可逆的な損傷の進行を遅らせるためには、継続可能な治療選択肢が欠かせない。
EU で承認されれば、ジャスケイドは欧州で10年以上ぶりのIPFに対する新たな治療選択肢となる。
◆FIBRONEERTM試験治験責任医師を務めたAnna‑Maria Hoffmann‑Vold氏(チューリッヒ大学およびオスロ大学病院のリウマチ学教授)のコメント
PPFの原疾患に自己免疫性リウマチ疾患がある患者さんを含め、IPF とPPF に対する現行の治療には限界があることが知られている。そのため、新たな作用機序と忍容性プロファイルを持つ治療法を発展させ、この複雑な疾患の管理を改善する必要がある。
ネランドミラストが、FIBRONEERTM 試験において呼吸機能の低下抑制や忍容性のデータを示したことは、この薬剤での継続的な治療の可能性を示した。IPFや自己免疫性リウマチ疾患を含むPPFのような疾患では、突然の予期せぬ悪化があるため呼吸機能のより長い維持ができれば、臨床現場において有意義な違いをもたらすことができる。
◆John K. Solheim EU‑PFF(欧州肺線維症連合)会長のコメント
肺線維症の精神的負担は甚大である。この病気によって自立性が奪われ、シャワーを浴びる、車まで歩く、呼吸するといった簡単な日常動作ができなくなることで大きな悪影響が生じる。
さらに、病気の負担に加えて、治療による副作用が加わる場合、治療の開始を遅らせたり、治療の中止を選択したりする患者さんが多くなってしまう。有効性と管理し得る副作用プロファイルを兼ね備えたIPF およびPPFの治療オプションは、欧州の患者さんとその家族に希望をもたらすことを期待している。

