成長製品・新製品が引き続き力強く伸長 武田薬品ウェバー社長CEO

4円増配へ

ウェバー氏

 武田薬品は8日、2024年度通期決算発表でクリストフ・ウェバー社長CEOが会見し、「2024年度は素晴らしい結果を達成した。当社のCore営業利益率の成長回帰は、成長製品・新製品の力強さと、複数年にわたる効率化プログラムによる大幅なコスト削減の成果を示している」と評価した。
 さらに、「2023年8月からの後発品の参入によりビバンセ(ADHD治療剤)が大きな影響に直面している厳しい時期ではあるが、引き続き財務のコミットメントを果たし、パイプラインを進展させステークホルダーの皆さんに価値を提供していきたい」と強調した。
 現在の成長製品、新製品のポートフォリオの勢いにも言及し、「2030年の初頭までの後発品の影響が限定的である期間を通して成長を牽引すると予測している」との見通しを示した。
 キャシュフローについては、「強力」とした上で、「長期的な価値をさらに高め、魅力的な株主還元を実現するために、投資とアセットに特化した事業開発を支えるためのものである」と断言。「我々の戦略により武田の長期的成長と新たなる次の展開に向けて強固な基盤を気付いていきたい」と抱負を述べた。
 2024年度通期業績は、売上収益4兆5815億5100万円(対前年比7.5%増)、営業利益3425億8600万円(60%増)、税引前利益 1750億8400万円(231.7%増)、当期利益1081億4300万円(25.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益 1079億2800万円(25.1%減)となった。
 一株当たりの年間配当金を196円から200円への増配を予定している。
 2024年度のCore売上収益は、実勢レート(AER:Actual Exchange Rates)ベースで対前年度+7.4%、恒常為替レート(CER:Constant Exchange Rate)ベースで同+2.8%成長した。
 増収は、為替相場の円安への推移、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジーおよびワクチンにおいて事業が好調に推移したことによるもの。
 同社の6つの主要なビジネスエリアのうち、ニューロサイエンス(神経精神疾患)については減収となり、これらのビジネスエリアの増収を一部相殺した。
 ニューロサイエンスは、円安による増収影響があったものの、米国におけるビバンセの独占販売期間満了に伴い、2023年8月以降、後発品が参入したことによる影響を引き続き大きく受けて減収となった。
 加えて、同社の6つの主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの減収によるものだ。アジルバの売上は、118億円(218億円減)となり、日本において2023年6月以降の後発品の参入による影響を受けた。
 Core営業利益は効率化プログラムによるコスト削減により対前年度+4.9%の成長(CERベース)となった。
 Core営業利益率の成長回帰は、成長製品・新製品の力強さと、複数年にわたる効率化プログラムによる大幅なコスト削減の成果を示している。
 2026年3月期の連結業績予想は、売上収益4兆5300億円(対前年比1.1%減)、営業利益 4750億円(38.7%増)、税引前利益 3070億円(75.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益 2280億円(111.3%増)。
 増益は、事業構造再編費用の大幅な減少見込みや、ビバンセの無形資産売却費が2026年1月に終了することなどによるもの。2025年度中に最大6つの重要な新規候補物質がP3試験に進展し、うち3つがデータ読み出しを完了、または予定している。
 ウェバー氏は、「2025年度は、タケダにとって重要な1年となる。後期開発パイプラインの上市に向けた投資によって概ね横ばいのCore営業利益率を見込んでいるが、この投資は、当社の長期的な成長を実現する重要な要素となる」とコメント。
 チーフ フィナンシャル オフィサーの古田未来乃氏は、売上収益とCore営業利益の成長を達成した2024年度の業績と、売上収益とCore営業利益が概ね横ばいになるという2025年度の見通しについて、「当社にとって過去に例のない規模での後発品の影響を乗り越えつつ、非常に有望な後期開発パイプラインを進展させる力を表すものである」と強調した。

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