重症化リスク高い婦人科系疾患におけるかかりつけ医への相談は女性の1割のみ  ロシュ・ダイアグノスティックス

 臨床検査薬・機器を扱うヘルスケアカンパニーのロシュ・ダイアグノスティックスは25日、15歳~69歳の女性5000名を対象に行った「かかりつけ医」に関する調査結果を発表した。調査結果によると、5割を超える女性が、「婦人科系の疾患について相談できる『かかりつけ医』」の必要性を感じているものの、実際に相談できるかかりつけ医をもっている人は1割に留まることなどが判った。
 今回の調査は、女性が日常生活において女性ならではの健康への不安にどのように向き合っているのか、また適切に医療機関を活用できているかを明らかにするために、「女性のかかりつけ医に関する調査」を15歳(高校生以上)~69歳の女性 5000人を対象にオンラインで実施したもの。調査期間は昨年12月18日~21日。

「かかりつけ医」の認知度・有無


 その結果、実際に相談できるかかりつけ医をもっている人は1割に留まっており、婦人科系の疾患について不安を感じたり罹患を疑っても、約4割は受診をしておらず、がんを疑う場合でも、3-5割は受診していないことが明らかになった。
 受診しない理由は、「近所や通いやすい場所に産婦人科がない」、「誰に相談していいのかわからなかった」、「ほうっておいてもそのうち治まる/治ると思った」、「受診にお金がかかる」などが上位に入った。
 女性のライフステージは、思春期、性成熟期、更年期、老年期と年代によって分かれ、それぞれのサイクルで身体に起こる変化や健康リスクが異なる。わずかな不調も見逃さないためには、定期的な産婦人科受診が求められるが、「産婦人科」や「婦人科」は、「妊娠してから行く病院」というイメージが強く、抵抗を感じる人も少なくない。
 だが、女性特有の疾患には、症状が現れる頃には重篤化している場合や、妊娠を臨んだタイミングで身体に何らかのトラブルを抱えている場合がある。そのような事態を防ぐためにも、小さな変化や不調、避妊や性感染症の予防など、家族や友人に相談しにくい話題を相談できる「かかりつけ医」をもっておくと安心だ。
 昨今の新型コロナウイルス感染症の流行により受診控えの傾向があると言われている中で、自己判断による受診控えによって取り返しのつかないことにならないよう、まずは自身の健康不安について相談できる「かかりつけ医」をもち、相談できる環境を作っておくことが重要である。
 今回の調査結果をもとにした上坊敏子氏(JCHO相模野病院婦人科腫瘍センター顧問)のコメントは次の通り。
 多くの女性が「女性ならではの健康の不安」について医師に相談できていない現状にあることがわかる。婦人科系の疾患は気付いた時にはすでに病状が進行しており、治療成績が悪いものもある。まずは近くの産婦人科や婦人科を訪ねて、自身の「かかりつけ医」として定期的に受診することを推奨する。
 最近は、インターネットをはじめ様々な形で疾患に関する情報を入手しやすくなっているが、正確な情報を入手することは難しい。健康について不安がある時は、専門医に相談し正しい情報を得ることが大切である。

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