WINREVAIR 成人肺動脈性肺高血圧症のファーストインクラス治療薬としてFDAの承認取得 MSD

 MSDは3日、WINREVAIRについて、肺動脈性肺高血圧症の成人患者に対するファーストインクラスの治療薬としてFDAの承認を取得したと発表した。
適応は、肺動脈性肺高血圧症(PAH、世界保健機関[WHO] Group 1)の成人患者の運動耐容能を向上させ、WHO機能分類(FC)を改善し、臨床的悪化イベントのリスクを減少させる治療薬肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)。
 WINREVAIRはすでにFDAからBreakthrough Therapyの指定を受けている。同剤は、初めてFDAの承認を取得したアクチビンシグナル伝達阻害剤で、増殖を促進するシグナル伝達経路と増殖を抑制するシグナル伝達経路のバランスを改善することでPAHの原因となる血管細胞増殖を調節する、新たなクラスのPAH治療薬である。
 今回の承認は、標準的な基礎療法を実施中のPAHの成人患者(WHO Group 1 FC IIまたはIII)において、WINREVAIR™(n=163)またはプラセボ(n=160)の投与を比較したP3相STELLAR試験に基づくもの。
 WINREVAIRを基礎療法に追加することで、24週時における6分間歩行距離がベースラインから41メートル改善し(95% CI: 28, 54; p<0.001; プラセボで調整)、あらゆる原因の死亡またはPAHの臨床的悪化イベントのリスクが、基礎療法のみの場合より84%減少(イベント数:9 vs 42、ハザード比=0.16; 95% CI: 0.08, 0.35; p<0.001)するなど、複数の重要な副次評価項目も有意に改善した。
 WINREVAIRの各投与前にはヘモグロビン濃度と血小板数について、最初の5回のそれぞれの投与前(検査値が安定しない場合についてはそれ以上の期間)、およびその後も定期的にモニタリングを行い、用量調節が必要かどうかを判断する。
 WINREVAIRによってヘモグロビン濃度が上昇し、赤血球増多症を引き起こす場合があり、重度の場合、血栓塞栓イベントや過粘稠度症候群のリスクが上昇するケースがある。
 またWINREVAIRにより血小板数が減少し、血小板減少症に至ることがあり、重度の場合、出血のリスクが高まる場合がある。血小板減少症は、プロスタサイクリンの注射剤を受けている患者ではより高い頻度で発生する。血小板数が50,000/mm3未満の場合には投与しない。

◆P3相STELLAR試験の治験責任医師のMarc Humbert博士(Université Paris-Saclayの医学部教授兼Pulmonary Hypertension Reference Center責任者)のコメント
 PAHは、肺の血管が肥厚・収縮し、心臓に大きな負担がかかる、進行性の命に関わる希少疾患である。P3相STELLAR試験では、WINREVAIRをPAHの基礎療法に追加することで、PAHの基礎療法のみと比較して優れた臨床的ベネフィットが示された。
 この承認は、重要なマイルストーンであり、これまでと異なるPAHの治療経路を標的とする新たな治療選択肢を医療従事者に提供するものである。

◆Pulmonary Hytertension Association会長兼最高執行役員のMatt Granato氏コメント
 Pulmonary Hytertension Associationは、PAH患者のための新しい治療法の開発を歓迎する。PAHと診断されることは、その病気が慢性的で進行性であることから、患者や家族の人生を変えてしまう経験になる。
 PAH患者は、息切れや倦怠感といった行動制限をきたす症状を経験する。私たちは、産業界の研究への取り組みがPAHのより良い理解や、患者コミュニティにとって選択肢を広げる新たな治療経路の医薬品開発につながっていることを嬉しく思う。

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