ダトポタマブデルクステカン 転移性乳がん対象P3試験でOS未達 第一三共

 第一三共は24日、ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2抗体薬物複合体〔ADC〕)について、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現または陰性の転移性乳がん患者を対象としたP3試験(TROPION-Breast01)において、同剤投与群が化学療法投与群に対して主要評価項目の一つである全生存期間(OS)は、統計学的に有意な改善が認められなかったと発表した。
 一方で、同試験においてもう一つの主要評価項目である無増悪生存期間は既に達成している。 同社はは、2023年10月開催の欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2023)で発表した通り、「同剤投与群は化学療法投与群に対し統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間の改善を示した」としている。
 TROPION-Breast01試験は、HR陽性かつHER2低発現または陰性の手術不能または転移性乳がんで、化学療法の前治療歴のある患者700名以上を対象に、本剤投与群の有効性および安全性を化学療法投与群と比較して評価したグローバルP3試験である。なお、同試験では、患者が病勢進行後または投与中止後に受けた後続の治療(本試験期間中に新たに承認されたエンハーツはじめ複数のADCを含む)が全生存期間へ影響を与えた可能性がある。
 安全性について、新たな懸念は認められず、乳がんを対象とした本剤の他の試験と同様の傾向であった。同剤と関連のある間質性肺疾患(ILD)の発現率は低く、中間解析以降に新たに報告されたグレード3以上のILDはなかった。同試験結果の詳細は、今後、学会にて公表する予定だ。
 第一三共は、同剤を世界中のHR陽性かつHER2低発現または陰性の乳がん患者に提供できるよう、各国・地域の規制当局との協議を進めていく。
 

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