胆道がんの認知度の低さが周囲への告知や困りごと相談のハードルに アストラゼネカの「胆道がん患者調査」で判明

 胆道がんの認知度の低さが周囲に病気を知らせることや困りごとを相談するハードルになっていることが、アストラゼネカの「胆道がん患者調査」で判明した。
 同調査は、2022 年 11 月、全国の 20 歳以上の胆道がん患者203名を対象に、診療・治療過程での経験や生活の変化を調べるインターネット調査で実施したもの。
 調査結果では、診断される前の時点では胆道がんについて知らなかった患者は全体の 80%を占めており、胆道がんの認知度が極めて低いことが示された。
 また、この認知度の低さに伴い胆道がん患者は、「病気について周囲に知らせることの難しさ」や、「治療における困りごとを相談しにくい」と感じていたことも明らかとなった。「胆道がん患者調査」の主な概要は、次の通り。

◆認知度が低いがために病気について身近な人に知らせる難しさ

 患者の 35%が、胆道がんと診断されたことを身近な人に知らせるのに「相手が胆道がんという病気をあまり知らなかった」ことがハードルになったと回答した。次いで、「胆道がんがどのような疾患か説明するのが難しかった」(28%)、「相手に説明できるほど自分自身が胆道がんについて理解できていなかった」(26%)であった。

◆困りごとを相談しづらいと感じている胆道がん患者

 胆道がんの治療を進めるにあたり、多くの患者さんが日常生活で困りごとを感じているにも関わらず、家族や周囲に相談しなかった方が全体の 4 割近くおり、相談しなかった理由としてもっとも多かったのが、「誰かに相談しても解決できないと思った」(57%)であった。この結果は、家族や周囲の胆道がんに対する認知度の低さが一因と考えられる。

◆胆道がん診断の経緯/見過ごされやすい体調変化

 胆道がん診断の経緯としては、「体調変化を感じて自ら医療機関を受診した」(34%)、「健康診断・人間ドックで異常を指摘されて医療機関を受診」(34%)でした。診断される前の症状としては、黄疸や便の色の変化といった明らかな見た目の変化に加えて、「みぞおちやわき腹の痛み」(36%)、「食欲が落ちた」(34%)、「全身のかゆみ」(19%)といった見過されやすい体調変化もあり、体調に変化があった患者の39%が1 カ月以上経ってから医療機関を受診していた。
 また、受診までに時間がかかった理由としては「重大な病気だと思わなかった」が最も多かった。

◆セカンドオピニオンの受診状況とその満足度

 患者の 81%がセカンドオピニオンを「知っている」と回答している中、実際にセカンドオピニオンを受けた患者は 42%にとどまった。セカンドオピニオンを受けなかった理由については「主治医に満足していた」が 50%ともっとも多い中、患者の一部は「治療開始
が遅れる(病気が進行する)ことを避けたかった」(21%)、「主治医に言いにくかった」(12%)「セカンドオピニオンを受けられる施設が見つからなかった」(7%)と回答した。
 また、セカンドオピニオンを受けた患者の 75%が受けて良かったと回答している。

◆胆道がんの治療による日常生活への影響
 胆道がんの治療中・治療後に日常生活で影響を受けたこととして、調査対象者の 47%が「体力の低下」と回答した。次いで多かったものは「通院の負担」(40%)、「がんの摘出手術やその後の経過」(39%)、「予定外の入院」(39%)であった。

 なお、調査結果の詳細は、
https://www.astrazeneca.co.jp/content/dam/az-jp/press-releases/pdf/20230208_01.pdfよりご確認できる。

◆同調査を監修した古瀬純司氏(神奈川県立がんセンター総長)のコメント
 今回の調査で、胆道がんの認知度が極めて低く、認知度の低さは胆道がん患者さんが周囲に病気になったことを知らせ、困りごとを相談する上でのハードルになっていることがわかった。
 また、初期症状や特有の自覚症状に乏しい胆道がんは、医療機関の受診が遅くなりやすいことも明らかになった。胆道がんは、体力低下が著しく、日常生活への影響が大きい上に、病状急変で予定外の入院を余儀なくされることも多い疾患である。
 従って、患者さんが身の周りのサポートを求めやすい環境づくりにむけて、胆道がんの正しい情報提供と認知向上が極めて重要である。また、胆道がん患者さんには特に、セカンドオピニオンやがん相談支援センターを活用いただきたい。

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