タイ・タマサート大学に超小型陽子線がん治療装置導入 ビードットメディカル

タマサート大学学長 Gasinee Witoonchart教授(右から2番目)とビードットメディカル代表 古川卓司氏(右端)

 ビードットメディカルと、タイのタマサート大学は、ビードットメディカルが開発する超小型陽子線がん治療装置の導入に向けた基本合意書を締結した。
 体への負担が少ない陽子線治療の世界的な普及を目指すビードットメディカルは、ASEAN主要国の中でも最も早いペースで高齢化が進んでいるタイに高度がん治療を導入し、これを起点にグローバル展開を進めていく。
 今回の基本合意は、日本の医療機器卸し大手のオルバヘルスケア(本社:岡山県)との販売提携により実現したもの。オルバヘルスケアは2023年1月にタイ法人(タイオルバヘルスケア)を設立し、タイを中心としたASEAN地域におけるヘルスケア産業の拡大を見越した医療機器事業を展開予定で、ビードットメディカルにとって同地域に進出するための強力なパートナーとなっている。
 近年東南アジアでは、人口やGDPの拡大に加えて国民所得も上昇しており、先進的な医療を取り入れる機運が高まっている。特に、タイは2000年以降社会保障制度の改革によって国民の医療環境が変化すると同時に、経済成長によるがん罹患者数が急増しているため、最先端がん治療へのニーズが高まっている。

線がん治療装置のイメージ図(薬機未承認品)

 だが、タイは総人口の約1/5が首都・バンコク周辺に集中し、首都圏の人口密度が非常に高いことから、従来の大型な陽子線治療装置を設置するスペースの確保は困難で、2023年現在国内に陽子線治療施設は1箇所しかない。
 ビードットメディカルの超小型陽子線がん治療装置は、都市部にも設置できる世界最小クラスであり、この状況を打破する装置として期待され、今回の導入に至った。
 導入先であるタイのタマサート大学は2024年に創立90周年を迎え、この節目に大学内に新たな病棟の開設が計画されており、ビードットメディカルとオルバヘルスケアによる陽子線治療の導入は目玉となる大規模プロジェクトである。
 今後、タイでの装置販売で必要となる治験もタマサート大学で実施予定で、 ビードットメディカル では、三位一体でプロジェクトを成功させ、これを起点に世界的に展開を目指して取り組んでいく。

◆Gasinee Witoonchartタマサート大学学長のコメント
 タマサート大学は、人々と未来のためにあらゆる分野で社会的イノベーションを生み出してきた。近年の経済発展に伴ってがん患者数が増え続けている中、この画期的な陽子線治療装置を導入することを誇りに思うとともに、最先端の治療を人々に提供できることを楽しみしている。

◆前島洋平オルバヘルスケア代表取締役社長のコメント
 オルバヘルスケアは、今後高齢化が進展するASEANにおいて、タイを医療分野のハブと位置づけ、ASEAN諸国での更なる事業展開を目指している。国民の健康長寿に寄与すべく、私たちは陽子線治療という高度がん治療の導入を通じて、医療分野におけるタイと日本の橋渡しをしていきたいと思う。

◆古川卓司ビードットメディカル代表取締役社長のコメント
 今回の基本合意締結は、我々にとってグローバル展開に向けた第一歩であり、世界でビードットメディカルの取り組みが認められたという大きな意味を持っている。タイを含めたASEAN諸国への世界クラスの高度がん治療提供を目指し、タマサート大学と共にこの革新的なプロジェクトを進められることを心待ちにしている。

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