TYK2阻害剤「ソーティクツ」 膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症で国内製造販売承認取得 ブリストル・マイヤーズ スクイブ

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは26日、経口投与可能なチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害剤「ソーティクツ」について、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症を適応として同日製造販売承認を取得したと発表した。
 ソーティクツは、TYK2に選択性をもってアロステリックに阻害するという新規作用機序を有する薬剤として、国内で初めて承認された乾癬治療薬である。検証的な国際共同P3相臨床試験および海外P3相臨床試験において、1日1回投与のソーティクツはプラセボと比較して優れた皮疹改善効果を示した。
 また、ソーティクツの良好な安全性・忍容性プロファイルは、同試験および尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症患者を対象とした国内P3相オープンラベル試験によって示されている。
 乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患で、乾癬性関節炎、心血管疾患、肥満、糖尿病、うつ病など、患者の健康に影響を与える可能性のある複数の併存疾患に関連している。国内の患者数は約43万人と推計されており、皮膚の一部に紅斑や鱗屑をきたす尋常性乾癬が全体の85.6%と最も多く、全身に膿疱が表れる膿疱性乾癬は2.3%、全身の皮膚が赤くなる乾癬性紅皮症は1.5%を占めている。
 中等症から重症の尋常性乾癬や膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を完治できる薬剤は現状なく、複数の薬剤を使用しながら長期にわたって治療を継続していくため、患者の病状やライフスタイルに合わせた多くの治療選択肢と、有効かつ許容可能な安全性・忍容性プロファイルを有する利便性に優れた治療薬に対する高いニーズがある。
 ソーティクツは、TYK2に選択性をもってアロステリックに阻害する、1日1回経口投与のTYK2阻害剤。TYK2は細胞外からの刺激シグナルを細胞内に伝達するために働くリン酸化酵素(キナーゼ)群のひとつであるヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの分子で、乾癬を含む自己免疫疾患の病態に寄与するインターロイキン(IL)-23、IL-12、I型インターフェロンなどの炎症性サイトカインの受容体に結合して下流にシグナルを伝達する役割を担っている。
 同剤は、TYK2に対するアロステリック阻害作用により、これらのシグナル伝達経路を抑える。また、ソーティクツは1日1回の経口投与で、用量の漸増・調節が不要である。
な お、米国では、本年9月9日に、全身療法または光線療法の候補となる中等症から重症の成人尋常性乾癬患者の治療薬として承認を取得しており、欧州でも乾癬に対する承認申請を行い、現在審査中である。
 
◆杉田真ブリストル・マイヤーズ スクイブ執行役員研究開発本部長のコメント
 乾癬は、皮膚の角化や紅斑を伴い、長期にわたる治療が必要なアンメットメディカルニーズの高い全身炎症性の自己免疫疾患である。現在、乾癬の治療には多くの選択肢があるが、TYK2阻害という新たな作用機序を持つソーティクツが承認されたことで、既存治療で効果が不十分であった乾癬患者に新たな治療選択肢を提供できることを嬉しく思う。
 自己免疫疾患を患う人々にとって、慢性的な症状と疾患の進行が与える身体的、情緒的、社会的な影響は大きく、日々の仕事や日常生活を困難にしている。
 当社は、常に患者さんを中心に据え、免疫系疾患に対する研究開発に取り組んできた。こうした経験で培った免疫システムの深い理解によって、深刻な自己免疫疾患を患う患者さんに有意義なソリューションを提供できるよう、今後も邁進していく。

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