カナグルなど重点品の伸長で国内営業が順調に推移  田辺三菱製薬三津家社長

三津家氏

 田辺三菱製薬の三津家正幸社長は30日、2019年度中間決算説明会で会見し、「重点品の伸長により、国内医療用医薬品の売上高が前年同期比75億円増の1491億円となった」と報告した。また、グローバル戦略については、「中枢神経領域を核」に推進し、「2023年に欧米で自社販売での売上高1000億円を目指す」方針を改めて強調した。
 市況に比べて田辺三菱製薬の国内営業が順調に推移している要因として川上泰利執行役員営業本部長は、「シンポニー(関節リウマチ等)、カナグル(2型糖尿病・SGLT2阻害薬)、ステラーラ(クローン病等)の伸長」を指摘した。
 特に、カナグルについては、「本年4月にオーストリアで開催された“国際腎臓病学会”で、糖尿病性腎症に対する効能を証明するクレデンス試験結果が発表された」と報告。さらに、「米国ではヤンセンが、本年3月FDAにカナグリフロジン(カナグル)の糖尿病性腎症の効能追加を申請し、9月に承認された。国内でもそのエビデンスについて高い評価を受けている」と説明した。
 小林義広常務執行役員育薬本部長も「糖尿病性腎症に対するエビデンスは、20年振りに得られた画期的な結果である」と強調した。
 同剤の糖尿病腎症についての効能追加は、欧州では本年7月に申請済み、国内は治験準備段階にある。
 一方、三津家社長は、グローバル戦略について、「ALS治療薬ラジカヴァを起点とし、神経性疾患を中心に、重篤な疾患へ新薬を投入する」考えを力説。主なパイプラインとして、「MT-1886/ラジカヴァ経口剤」、「ND0612/パーキンソン病」、「MT-8554/血管運動神経症状」、「MT-3921/脊髄損傷」を挙げた。
 ラジカヴァ経口剤は、開発計画を本年7月にFDA・8月にPMDAと合意し、12月に長期安全性試験開始予定にあり、「日米ともに21年度上市に向けて順調に進捗している」と断言した。
 三津家氏は、4月に開設したラジカヴァ室にも言及し、「担注射剤の承認国拡大と経口剤上市によるグローバル化の戦略を担っている」と説明。
 米国への橋頭保となったラジカヴァの販売状況は、「患者の長期投与が一巡した。オーファンドラッグは2年目で落ち着く傾向にある」と述べ、「そこを再度拡大していく」考えを示した。
 米国でのラジカヴァの新規投与患者数は約1000名であるが、ALSは毎年4000~5000名程度発症している。三津家氏は、「本剤のエビデンスを蓄積するとともに、より良いバイオマーカーを探求して、患者の早期発見に繋げていきたい」と明言。
 さらに、「ラジカヴァの注射剤は、日、米、中で承認されたが、欧州での承認は得られなかった。欧州でも“経口剤は欲しい”との声があるので、経口剤の開発を機にもう一度挑戦したい」と抱負を述べた。
 

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