HIVフランチャイズのロイヤリティ収入順調に推移  塩野義製薬手代木社長

手代木氏

 塩野義製薬の手代木功社長は30日、2019年度中間決算説明会で会見し、「HIVフランチャイズのロイヤリティ収入は、順調に推移している」と報告した。また、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」については、「リスクの一部にフォーカスを当てるのではなく、他の同効薬とフェアに比較した報道をして貰えるように努力したい」と強調した。
 ギリアドの「ビクタビー」が、競合薬として米国で本格的に拡大するのではないかと懸念される中、2019年度中間期のHIVフランチャイズのロイヤリティ収入は611億円(対前年比7.1%増)となった。
 手代木氏は「ビーブ社の頑張りもあり、HIVフランチャイズの売上高は順調に推移し、通貨ベースでは10%増収となった」と明かす。
 来年度以降は、「ドルテグラビル(DTG)+ラミブジン(3TC)配合抗エイズ薬のトベートや、カホテグラビル+リルピリビンの持続性注射剤が本格的に寄与していく」との見通しを示し、「2020年以降は、当社のHIVフランチャイズにとって非常に楽しみなタイミングになる」と力説した。
 一方、日本感染症学会および日本小児科学会のゾフルーザの使い方の提言に関しては、「発売して一冬しか経過していないので、もっとデータを積み上げていかねばならない」とした上で、「使用制限する状況ではないと理解している」と明言。売上目標も「国内マーケットシェアの40~50%を変更する状況にはない」とコメントした。
 ゾフルーザのデータ収集については、「真摯に行い、この薬剤の良いところ、悪いところをきちんとフィードバックしたい」と強調し、「情報を集めて分析する力は、どの会社にも負けない」と自負した。
 海外でのゾフルーザの評価にも言及し、「日本における今回のハイリスクの指摘は、欧米では問題になっていない。日本の状況を見ている」と断言した。
 さらに、「ロシュのCEOからは、他剤とフェアな比較になっているのかという点をよく質問される」と述べ、「例えば小児において何も薬剤を使わなかった場合どうなっているのか、タミフルを投与した時に高熱が出る確率がどのくらいあるのか、ゾフルーザではどうかといった観点からの比較が重要である」と指摘。
 「タミフルやゾフルーザが効かなかった一例だけを取りあげても、そこだけの事実になる」と明言し、「我々は、リスクの一部にフォーカスを当てるのではなく、他の同効薬とフェアに比較した報道をして頂けるように努力したい」と訴えかけた。
 手代木氏はブレクジットにも触れ、「当社の業績は、ポンドの影響が大きい。英国では12月12日に総選挙が行われるが、為替への影響は予測できない。ビジネス的には、1ポンド140円と想定するのが妥当ではないか」と述べた。

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