日本肺癌学会とゾンゲルチニブの実臨床下使用実態・有効性評価観察共同研究実施 日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは4日、日本肺癌学会と共同で、非小細胞肺がん治療薬「ゾンゲルチニブ」(製品名:ヘルネクシオス)の実臨床下における使用実態および有効性を評価する観察研究「J-HERZ」を実施することで合意したと発表した。
 ゾンゲルチニブは、2025年11月12日に発売された日本初の経口分子標的薬で、適応は「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」。
 同研究は、HER2 遺伝子変異陽性の転移性または局所進行の非小細胞肺がん患者約300例を対象に、5 年にわたってゾンゲルチニブによる治療を受けた患者の使用実態や有効性に関するデータを収集・評価するもの。10月に研究代表施設の倫理審査委員会の承認を受け、11月より全国の参加施設で患者登録を進める。
 日本肺癌学会および日本ベーリンガーインゲルハイムは、今回の観察研究を通じて、ゾンゲルチニブの実臨床下における使用実態や有効性に関するデータを蓄積し、さらなる適正使用の推進により患者のQOL向上を目指す。
 近年、肺がんの発生率は増加しており、2040年までには世界で300万人以上になると予測されている。非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの中でも最も頻度が高いがんでありながら、診断が遅れることが多いため、5 年生存率は 30%を下回るとされている。
 また、HER2 遺伝子の変異は肺がんのうち約 1-5%の発症原因とされており 、腫瘍の成長・進展の要因になっている。
 このように NSCLCは患者の生命にかかわる疾患でありながら、希少ドライバー変異であるHER2遺伝子変異を有する患者に対しては、治療の選択肢が長らく限られてきた。
 こうした中、HER2 遺伝子変異陽性NSCLCに対する新たな治療選択肢としてゾンゲルチニブが登場した。だが、より適切な個別化医療の実現に向けては、治験では対象になりにくい高齢者や全身状態が良好でない患者、合併症を有する患者などを含め、実際の診療現場における治療成績や患者背景に関するデータを体系的に収集・評価する知見の蓄積が重要となる。そこで、実臨床下における使用実態および有効性を評価する観察研究「J-HERZ」を実施する運びとなった。
 日本肺癌学会と日本ベーリンガーインゲルハイムが共同で実施し、全国の多施設から症例を集積することで、希少なHER2 遺伝子変異を有する非小細胞肺がんに関する大規模な実臨床データの構築を行う。
 これにより、診療実態や治療成績、患者背景に関する理解を深め、今後の診療の発展につながる臨床エビデンスの創出を目指す。主要評価項目はゾンゲルチニブを初回治療として投与する患者群の客観的奏効率(ORR)である。
 同研究で構築されるデータベースは、将来的に日本肺癌学会臨床研究統合データベース(JIDB)に統合され、HER2遺伝子変異陽性NSCLCに関するさらなる二次研究や新たな臨床的課題の解明に貢献する。

◆山本信之日本肺癌学会理事長のコメント
 日本肺癌学会は、これまでも肺がんの治療法の発展に尽くしてきた。近年、がん治療の治療法や薬剤は目覚ましい進歩を見せているが、多様な背景を有する患者さんそれぞれに最適な治療を提供するためには、さらなる研究と知見の蓄積が必要だ。
 HER2 遺伝子変異を有する非小細胞肺がんは希少フラクションである。今回のゾンゲルチニブに関する研究を日本ベーリンガーインゲルハイムと共同実施することにより、非小細胞肺がんの患者さんの個別化治療への前進に大きく貢献したい。

◆荻村正孝日本ベーリンガーインゲルハイム代表取締役医薬事業ユニット統括社長のコメント
 本邦の肺がん治療の発展をけん引されてきた日本肺癌学会との共同研究が開始されることを光栄に感じている。当社は 2025 年にゾンゲルチニブを上市し、患者さんにとってよりよい治療を提供するための個別化医療の発展を目指してきた。
 今回の共同研究はその実現のための大きな一歩であり、がんと向き合う患者さんの QOL 向上のために引き続き尽力していく。

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