MSDは21日、長期間作用型抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤「エヌフロンシア」(一般名:クレスロビマブ、遺伝子組換え)を日本で新発売したと発表した。
エヌフロンシアは、RSウイルス感染症予防の受動免疫として開発された長期間作用型のヒトモノクローナル抗体(mAb)で、2026年6月19日に製造販売承認を取得した。
生まれて初めてRSウイルス感染流行期を迎える新生児および乳児に、投与時の体重に関係なく単回固定用量を筋肉内注射することで、抗体が直接的に作用し、予防効果が得られるように設計されている。
効能・効果は、①「生後初回のRSウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児及び乳児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制」、②「生後初回のRSウイルス感染流行期の①以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防」
RSウイルスは、気道などに感染する伝染性のウイルスで、感染力が強く、特に乳児や高齢者では重篤な呼吸器疾患を引き起こす場合がある。日本では、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも一度は感染するとされており、生後1歳未満では、年間で1000人あたり20~30人程度がRSウイルス感染症で入院を要すると推定されている。
また、日本の5歳未満の健康な児において、RSウイルス感染症による入院率はインフルエンザの入院率の約10倍高かったという調査や、入院した2歳未満のRSウイルス感染症患者の約90%が、RSウイルス感染症重症化のリスクファクター(早産児、気管支肺異形成症、先天性心疾患(CHD)、ダウン症候群および免疫不全症)を有していなかったという報告があるなど、健康な児においても重症化する例が多くみられる。従って、すべての新生児および乳児が予防できる環境が必要と考えられている。
エヌフロンシアの製造販売承認は、初めてRSウイルス感染流行期を迎える生後1歳までの健康な早産児および正期産児を対象に、エヌフロンシア単回投与の安全性および有効性を評価したP2b/3相CLEVER試験(MK-1654-004)、ならびにRSウイルス感染症の重症化リスクが高い乳児および幼児を対象に、エヌフロンシアの安全性、有効性および薬物動態などをパリビズマブと比較評価したP3相SMART試験(MK-1654-007)の結果に基づくもの。
エヌフロンシアは、2025年6月に米国で承認され、2026年4月に欧州委員会(EC)の承認を取得しており、2026年6月現在、40以上の国・地域で承認されている。
◆プラシャント・ニカムMSD代表取締役社長のコメント
本日、すべての新生児および乳児をRSウイルス感染症から守るための新たな選択肢として、抗体製剤エヌフロンシアを提供できることを大変嬉しく思う。
RSウイルス感染症は、健康な児においても重症化するリスクがあり、本人だけでなく家族や医療従事者の負担もとても大きいと思う。固定用量を1回筋肉内注射することで予防効果を発揮するエヌフロンシアは、日本の子どもたちの健やかな発育と、医療現場の負担軽減に貢献できるものと考えている。
今後、速やかに抗体製剤が定期接種化され、すべての新生児および乳児に公平にRSウイルス感染症予防の機会が提供されることを期待している。
