冬の感染症実態調査 生活者の約6割が慣れ、約半数が疲れ実感 塩野義製薬

 塩野義製薬は14日、昨年12月12~14日まで20~89歳の男女1200人を対象に実施した冬の感染症に関する意識調査結果を公表した。同調査では、生活者の約6割が感染症に「慣れ」を、約半数が感染症対策に「疲れ」を感じていることが判明した。同調査から得られた示唆を踏まえ、塩野義製薬は今後も社会に対する疾患啓発活動や、感染症対策のさらなる強化に努めていく。冬の感染症実態調査の調査概要、調査結果サマリー、詳細は、次の通り。

【調査概要】
・調査時期:2025年12月12日(金)〜12月14日(日)

・調査方法:インターネット調査 

・調査対象:20~89歳の男女1200人  

・調査委託先:エクスクリエ/調査実施:クロス・マーケティング 

・調査監修:医療法人至誠会 なゆたの森病院 理事・病院長、国立大学法人佐賀大学 名誉教授 青木洋介氏、/いとう王子神谷内科外科クリニック・院長 伊藤博道氏
 
【調査結果のサマリー】
◆生活者の約6割(60.2%)が感染症に「慣れ」を感じ、約半数(49.1%)が感染症対策に「疲れ」を感じていると回答。その理由として「いつも何らかの感染症が流行っている」「次から次へと変異株が出てきている」などと回答。

◆ 生活者の7割以上(72.1%)が「社会全体として新型コロナに対する緊張感が薄れている」と回答。

◆この冬、約6割(58.7%)が新型コロナ感染への不安を感じると回答し、70代以上の不安度(65.5%)が高い。風邪の諸症状を感じたとき「医療機関を受診する」と約3割(30.3%)が回答。

◆65歳以上の半数(50.0%)は重症化リスクの認識なし。「重症化リスクが高い」と回答した人は65歳以上でおおよそ4人に1人(24.8%)、65歳以上の当事者では30.9%が回答。

◆青木洋介氏のコメント  特に高齢の人や基礎疾患のある人は、早めに医療機関へ相談を

◆伊藤博道氏のコメント  高齢者の新型コロナ感染後の死亡リスクは依然高く、若年層も後遺症により日常生活に支障を来す例も

【調査結果の詳細】

◆生活者の約6割が感染症に「慣れ」を感じ、約半数は感染症対策に「疲れ」を感じている
 まず、感染症に対する意識を4段階(そう思う、ややそう思う、あまりそう思わない、そう思わない)で聞いた。感染症に「慣れ」を感じているかと聞くと、13.9%が「そう思う」、 46.3%が「ややそう思う」と答え、全体の60.2%が感染症に「慣れ」を感じると回答。感染症対策に「疲れ」を感じているかと聞くと、13.0%が「そう思う」、36.1%が「ややそう思う」と答え、全体の49.1%が「疲れ」を感じると回答している。年代別に見ると、「慣れ」も「疲れ」も40代(慣れ67.0%、疲れ54.0%)が最も高くなっている[図1]。

[図1]

◆慣れ・疲れの理由は「いつも何らかの感染症が流行っている」「次から次へと変異株がでてきている」から
 感染症に「慣れ」を感じる、または感染症対策に「疲れ」を感じると答えた833人にその理由を聞くと、「いつも何らかの感染症が流行っているような気がするから」(33.6%)、「次から次へと変異株がでてきているから」(32.7%)、「いつも何らかの感染症を気にしなければならなくなっているから」(27.0%)、「新型コロナ、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、百日ぜきなどいろいろな感染症がでてきているから」(25.2%)が上位に挙げられたほか、おおよそ5人に1人は「感染症にかかることは普通のことだから(驚きはないから)」(21.5%)と回答した[図2-1]。

[図2-1]
◆年代別に見ると、感染症に「慣れ」を感じ、感染症対策に「疲れ」を最も感じている40代は、おおよそ4人に1人が「感染症にかかることは普通のことだから(驚きはないから)」(26.8%)と回答し、感染症は普通のことだからと「慣れ」、その対策に「疲れ」を感じると回答した人の割合が他の年代より高くなっている[図2-2]

[図2-2]
◆新型コロナ感染に対し約半数(52.4%)が「驚きや心配はない」と回答

 全員に、周囲の人が新型コロナに感染しても、へぇ〜くらいの感覚で「驚きや心配はない」か、4段階(そう思う、ややそう思う、あまりそう思わない、そう思わない)で聞いた。その結果、11.0%が「そう思う」、41.4%が「ややそう思う」と答え、全体の約半数(52.4%)が、新型コロナ感染に対し「驚きや心配はない」と回答した[図3]。

[図3]
◆生活者の72.1%が、社会全体として新型コロナに対する「緊張感が薄れている」と回答
 感染症への「慣れ」や感染症対策に「疲れ」が見られる今の日本、社会全体として新型コロナに対する「緊張感が薄れている」と感じるか、4段階(そう思う、ややそう思う、あまりそう思わない、そう思わない)で聞くと、27.4%が「そう思う」、44.7%「ややそう思う」と答え、全体の72.1%が新型コロナに対する「緊張感が薄れている」と回答している。
 年代別に見ると、70代以上は緊張感の薄れを感じると回答した人が85.5%と、最も多くなっている[図4]。

[図4]

 この冬の感染症対策について、コロナ禍(2020〜2021年頃)と比較してどの程度行っているか聞いた。感染症対策全体としては半数が「コロナ禍ほどやっていない」(50.0%)と答えているが、個別の対策では「ソーシャルディスタンス」が59.1%と約6割、「屋内でのマスクの着用」(51.0%)や「人混みや混雑をさける」(50.8%)も約半数の人が「コロナ禍ほどやっていない」と答えている。
 逆に「外出時のマスクの着用」や「うがい」は「コロナ禍と変わらずやっている」(外出時のマスク43.3%、うがい42.3%)と回答した人が若干多くなっている[図5]。

[図5]
◆今冬、約6割(58.7%)が「新型コロナ」感染への不安を感じると回答し、特に70代以上で高い

 一方、この冬、感染症にかかることに対する不安について4段階(とても不安、やや不安、あまり不安はない、全く不安はない)で聞くと、風邪53.3%(とても不安10.5%+やや不安42.8%)、インフルエンザ57.2%(とても不安14.3%+やや不安42.8%)、新型コロナ58.7%(とても不安16.1 %+やや不安42.6%)という結果になった。約6割が、インフルエンザや新型コロナへの感染に不安を感じている。
 なお、新型コロナ感染への不安を年代別に見ると、70代以上は65.5%(とても不安18.0%+やや不安47.5%)が「不安に感じる」と回答し、全年代の中で最も高くなっている[図6]。

[図6]

◆ 風邪の諸症状を感じたとき、「医療機関を受診」すると回答したのは約3割

 発熱、喉の痛み、咳、鼻水、倦怠感など風邪の諸症状を感じたとき、普段どんな行動をとるか聞きました。回答した人が多いのは「市販薬を飲む」(32.3%)、「外出を控え様子をみる」(31.5%)、「医療機関を受診する」(30.3%)、「インフルエンザや新型コロナなど、その時に流行している感染症を疑う」(27.5%)、「ただの風邪だと思う」(25.5%)の順となった。感染症にかかることに半数以上が不安を感じているものの、医療機関を受診する人は3割程度であった。
 医療機関を受診すると答えた人を年代別に見ると、「70代以上」(40.5%)や「65歳以上」(40.8%)では、受診すると回答した人の割合が約4割と高くなっている[図7]。

[図7]

◆医療機関に行かない理由、「寝ていれば大丈夫」「市販薬を飲めばよい」「様子を見ればよい」
 風邪の諸症状を感じたときに「医療機関を受診する」と答えなかった836人に、受診しない理由を聞いた。すると、「少々の発熱であれば家で寝ていれば大丈夫だと思うから」「市販薬を飲めばよいので」(同率25.5%)、「症状がひどくなるまでは、様子を見ればよいと思うから」(25.4%)、「受診の手間や時間がかかるから」(21.8%)と回答した人が多く、医療機関に行かない理由の上位に挙げられた[図8-1]。

[図8-1]
◆医療機関を受診しない理由を年代別に見ると、20代と40代は「市販薬を飲めばよいので」(20代20.4%、40代27.3%)、30代は「受診の手間や時間がかかるから」(27.1%)、50代は「症状がひどくなるまでは、様子を見ればよいと思うから」(31.6%)、60代以降は「少々の発熱であれば家で寝ていれば大丈夫だと思うから」(60代29.2%、70代以上38.7%)と回答した人が多く、1番の理由となっている[図8-2]。

[図8-2]

◆発熱時の「早期受診」、8割が認識
 自身が発熱した際、「早期受診」のタイミングとは具体的にいつ頃と認識しているのか聞いてみた。すると、「風邪の症状や違和感を感じたタイミングや発熱しそうだと感じたタイミング(発熱前)」(23.6%)、「発熱当日」(28.7%)、「発熱翌日」(27.8%)など、約8割(80.1%)の人が発熱翌日までを早期受診のタイミングと答えた[図9]。

[図9]
 約8割が発熱時に48時間以内の早期受診を認識しているにもかかわらず、実際に風邪の諸症状を感じたときに「医療機関を受診する」と回答した人は[図7]の通り3割程度にとどまり、現実とのギャップが生じている。

◆新型コロナの重症化リスク、65歳以上の2人に1人は重症化リスクの認識なし
 自身が新型コロナにかかった場合、重症化しやすい・重症化リスクがあると思うかを4段階(そう思う、ややそう思う、あまりそう思わない、そう思わない)で聞きました。すると、全体では41.0%(そう思う10.0%+ややそう思う31.0%)が「重症化リスクがある」と答えている。
 年代別に見ると、20代(42.5%=そう思う11.0%+ややそう思う31.5%)と60代(42.5%=そう思う8.0%+ややそう思う34.5%)の重症化リスクの認識が同数であった。
 一方、実際に重症化リスクが高いといわれる65歳以上では、50.0%(そう思う11.3%+ややそう思う38.7%)が「重症化リスクがある」と答えており、2人に1人しか自身の重症化リスクを認識していないことが分かった[図10]。

[図10]

◆65歳以上のシニア層は「重症化リスクが高い」と回答した人はおおよそ4人に1人、当事者でも約3割
 新型コロナには「高齢(65歳以上)」以外にも基礎疾患や生活習慣など、さまざまな重症化リスクがある。新型コロナにかかった際、どんな人が重症化リスクの高い人だと思うかと聞くと、「75歳以上のシニア層」(43.5%)と回答した人が最も多く、次いで「基礎疾患あり肺に持病を持っている方」(34.5%)、「基礎疾患あり糖尿病の方」(30.1%)と回答した人が多くなっている。
 75歳以上の重症化リスクが高いことは4割以上が認識しているが、「65歳以上のシニア層」の重症化リスクが高いことを認識している人は24.8%とおおよそ4人に1人、65歳以上の当事者でも30.9%であった[図11]。

[図11]
◆青木洋介氏のコメント
 今回の調査では多くの方が感染症、特に新型コロナウイルス感染症やインフルエンザにかかることへの不安は感じつつも、その対策には“慣れ”、あるいは一種の“疲れ“を感じ、社会全体として緊張感が薄れていると感じている実態が明らかになった。
 次から次へと出てくる新しい感染症や変異株の話題に頻繁に晒されてきたことも背景にありそうだ。65歳を超えるご高齢の方であっても、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症を疑った際、6割の人が医療機関を受診しない実態も明らかとなったた。
 日本感染症学会からは、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症に対しては、早期治療が奨励されているので、特に高齢者や基礎疾患のある人は、軽い症状でも早めに医療機関へ相談する方が安心である。

◆伊藤博道氏のコメント
 最近、新型コロナウイルス感染において、発熱などの症状があっても検査や受診を控えるなど、社会全体で感染症への慣れや対策への意識の薄れを感じる。
 受診時にコロナウイルス検査を希望しない人も多く見られる。だが、65歳以上の高齢者ではコロナ感染後の死亡リスクがインフルエンザより依然高く、若年層においても強い倦怠感や呼吸器・神経系の後遺症により、長期にわたり就業や日常生活に支障を来す例が報告されている。感染対策疲れに加え、誤情報の拡散も危機感の低下につながっていると思われる。
 発症後1~3日以内の早期検査と適切な治療は、重症化や後遺症の抑制につながる可能性があり、基本的な感染対策と併せて、その重要性を改めて社会全体で共有する必要があると考える。

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