2月は「全国生活習慣病予防月間」2023年のテーマは一無(無煙・禁煙) 日本生活習慣病予防協会

 毎年2月は、「全国生活習慣病予防月間」だ。全国生活習慣病予防月間2023のテーマは、日本生活習慣病予防協会の健康標語「一無、二少、三多」より、「一無(無煙・禁煙)」が採用されている。
 全国生活習慣病予防月間2023公式サイトでは、市民公開講演会のほか、スローガン川柳入賞作品、生活習慣病予防啓発ポスター・リーフレットを公開している。
 市民公開講演会(Web講演会)では、日本生活習慣病予防協会理事による講演「たばこに関する新たな問題~環境破壊と新型たばこ~」、「高血圧と喫煙をめぐって」、「たばこと歯周病」、「新たな禁煙治療法~オンライン診療と禁煙アプリ~」4題と、講演会後に行われた総合討論の動画を収載している。なお、市民公開講演会の視聴、ポスター・リーフレットのダウンロードは無料。


 全国生活習慣病予防月間2023の主なイベント内容は、次の通り。

【市民公開講演会(Web講演会】

◆公開場所:日本生活習慣病予防協会全国生活習慣病予防協会サイトhttp://www.seikatsusyukanbyo.com/monthly/

◆講演会プログラム

・講演1 「たばこに関する新たな問題~環境破壊と新型たばこ~」=村松弘康氏(中央内科クリニック 院長、東京都医師会たばこ対策委員会アドバイザー)


 たばこがどれだけ体に悪いのかという話は、すでに多くの方が一度は耳にされていることだろう。だが、医学的研究は日進月歩。年々新たなエビデンスが蓄積されてきている。
 さらに、近年の大きなトピックスとして、加熱式たばこの台頭が挙げられる。加熱式たばこは一般的に「害の少ないたばこ」だと思われ、メーカーからも「有害成分の含有量は従来型たばこの10%程度」というデータが公表されている。ただ、それは「100階から落ちるか10階から落ちるかの違い」とのこと。
 さらに、最近のトピックは「SDGs」。たばこの生産は貧困国を中心に行われており、収穫にあたる子どもたちが、経皮吸収によるニコチン中毒で死亡することもあるという衝撃的な実態が紹介されている。もちろん、栽培に伴う環境破壊も座視してよい問題ではない。

・講演2 「高血圧と喫煙をめぐって」=齊藤郁夫氏(慶応義塾大学 名誉教授)


 4300万人の日本人が患っていると言われる「高血圧」。講演はその高血圧とはどういう病気かという話からスタートする。国内で最も古い高血圧に関する疫学研究は、今からちょうど100年前の1923年に報告された。
 その後、米国のフラミンガム研究や我が国の久山町研究など、現在も続けられている疫学研究によって、高血圧とともに「喫煙」が、心血管疾患の重大なリスクファクターであることが明らかになった。現在のガイドラインでは、高血圧治療に際して禁煙が減塩などとともに修正可能因子として掲げられている。
 最近のトピックとしては、昨年、高血圧治療補助アプリが保険適用されたことを解説。アプリの効果も含めて、高血圧の最新治療と「一無、二少、三多」の関連が説明される。

・講演3 「たばこと歯周病」=小林隆太郎氏(日本歯科大学 東京短期大学 学長、日本歯科大学 口腔外科 教授)


 歯周病を単に「歯の病気」だと思っている人には、ぜひこの動画をご覧になることをお勧めしたい。「歯のために歯磨きをする」と言っていたのは昔のことで、今では「命を守るために歯を磨く必要がある」。
 歯周病がさまざまな疾患のリスクを押し上げていることを示すエビデンスが蓄積されている。講演では、まず、それらの疾患と歯周病との関連が解説される。続いて歯周病の原因と治療方法の解説へと話は進む。
 たばこもまた歯周病のリスク因子であり、喫煙者は歯周病罹患率が高くて進行も速い、つまり、口の中の老化が進んでしまっていて、その影響はインプラント治療後にも及ぶ。たばこは、直接的に体を蝕み、かつ、歯周病を介して全身に悪影響を及ぼす。

・講演4「新たな禁煙治療法~オンライン診療と禁煙アプリ~」=村松弘康氏(中央内科クリニック 院長、東京都医師会たばこ対策委員会アドバイザー)


 オンライン診療はCOVID-19パンデミックにより緊急措置的な意味合いでスタートした。禁煙治療においては、ニコチン依存状態への治療と、精神的な依存状態への治療を並行して進めることが成功のポイント。これまでのニコチンパッチなどの治療法はニコチン依存症に対する治療であって、精神的な依存状態への治療は手段が限られていた。
 そこに最近登場したのが禁煙アプリ。「アプリを利用した治療により医療費負担はやや増える。だが、禁煙に成功すればたばこ代がかからなくなるのだから、検討に価する」
 このほか、たばこはCOVID-19感染リスクと重症化リスクを高めるだけでなく、long COVIDと呼ばれる後遺症のリスクを高めることも明らかになっている。

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