1月の後半となり、通常の忙しい日々が戻ってきた。年末年始を経て、インフルエンザなどの感染症もますます猛威をふるっているので、引き続き体調管理には注意を払いたいものだ。
2024年12月に大正製薬が行った「感染症対策で積極的に摂取するよう心掛けているもの」に関するインターネット調査によると、446人の方が「積極的に摂取しているものはない」と回答。積極的に摂取している方に関して、具体的には多い順に「ビタミンC」(342人)、「乳酸菌」(268人)、「水分」(174人)、「食物繊維」(173人)、「たんぱく質」(145人)、「ビタミンB群」(118人)、「ビタミンD」(101人)と続いた。
感染症を予防し、重症化を防ぐためには、免疫機能を整える栄養素を意識したバランスの良い食生活が欠かせない。医師の谷口英喜氏(済生会横浜市東部病院患者支援センター長)は、「免疫機能を活性化させ、感染症に罹らない、罹ってしまったとしてもすぐに回復できる身体づくりには、やはり日頃の食生活への意識が重要である」と話す。
また、近年の免疫と栄養の相関に関する研究はますます進んでいて、次に示す新たな成分が日常的に摂取することが推奨さている。
・フリーラジカル(活性酸素種)を取り除いて、感染症の際に起こる細胞障害を軽減する抗酸化作用をサポートし、免疫低下時に腸内の免疫細胞が集まる器官であるパイエル板の減少を抑制するといわれているタウリン
・T細胞の増殖抑制やT細胞受容体複合体の異常のコントロールをしてくれるアルギニン
・消化管の粘膜の細胞や免疫細胞のエネルギー源になるグルタミン
・免疫細胞がウイルスなどと戦う際に炎症を起こすサイトカインや、炎症時に血栓を作ってしまう物質などの生成を抑制するオメガ-3脂肪酸
寒さが続くこれからも、引き続き免疫バランスの強化を意識して、強い身体を作りたい。忙しい日々の中でも手軽に“タイパ”よく作れて、なおかつ感染症を重症化させない栄養を意識したメニューを、谷口氏の栄養監修のもと、料理家で管理栄養士のShie氏がに考案した。
◆ライスペーパーバーガー
SNSでも意外な活用法がバズっているライスペーパーレシピ。実は、バンズ代わりにすれば、ハンバーガー風でありながら野菜がたっぷり入れられ、しかも低カロリーに仕上がる。
トマト・レタス・アボカド・チーズ、レンチンで作る目玉焼きに加え、味付けや調理済みのさばのみそ煮缶を挟むのが、火を使わずに手軽にできるポイントだ。野菜から食物繊維やビタミン、ミネラルも多く摂れ、栄養バランスもとりやすい1品になっている。
バンズをライスペーパーに置き換えることで、糖質を大幅に抑えられることから、糖質の摂りすぎが気になる方にもおすすめできるレシピである。
【材料】(2人分)
・ライスペーパー 4枚
・サニーレタス 2枚
・さばの味噌煮缶 1/2缶(70g)
・トマト 2㎝
・アボカド 1個
・スライスチーズ 2枚
・マヨネーズ 大さじ1
【作り方】
トマトは1cmの輪切り、アボカドは5㎜幅にスライスする。サニーレタスの芯の部分は指で押し潰し、巻きやすくしておく。さばの味噌煮缶は汁気をきっておく。
② 表面を水で濡らした耐熱の平皿に卵を2個割り入れ、黄身に爪楊枝等で3.4か所穴をあけ、600Wのレンジで約2分加熱し目玉焼きを作る。
③ さっと水にくぐらせたラースペーパーを敷き、中央にサニーレタス1枚、トマト、目玉焼き、さばの味噌煮、マヨネーズ、アボカド、スライスチーズを半量分ずつのせ、上からサニーレタスをもう1枚被せたら、下にひいたライスペーパーで上を閉じるように、きつめに包む。
④ もう1つ同様に作ったら、断面が綺麗になる向きで半分に切る。
ライスペーパーはさっとくぐらせる程度に。浸しすぎると破けやすいので注意を要する。水にくぐらせた直後は硬くても、時間を置くと柔らかくなる。
栄養のポイント
・さば缶に含まれるたんぱく質、タウリン、n-3系多価不飽和脂肪酸などは免疫機能の向上におすすめの栄養素だ。
免疫細胞も免疫細胞間のコミュニケーションを見極めて分泌されるサイトカインもすべてたんぱく質でできている。また、タウリンは抗酸化物質として働き、活性酸素や炎症性サイトカインの生成を抑制することで過剰な炎症反応を回避することに役立ち、感染症に罹ったときの症状を軽減する可能性があることがわかっている。(※)
※タウリンは炎症に伴う免疫細胞へのダメージを軽減する~ウイルス感染に伴う炎症や疲労を改善する可能性~
https://www.taisho.co.jp/company/news/2024/20241210001786.html
n-3系多価不飽和脂肪酸は、免疫細胞の分化や活性化を調節し、適切な免疫応答を促進してくれるといわれている。
・トマトに含まれるリコピンには抗酸化作用があり、活性酸素を除去してくれる。
・アボカドに含まれるビタミンEは、抗酸化ビタミンの一つであり活性酸素を抑制する抗酸化力で、細菌やウイルスなどから体を守る。
・チーズには、菌やウイルスの侵入を防いでくれる喉や鼻、気管支等の粘膜を正常に保つビタミンAが含まれる。
・レタスやアボカドに含まれる食物繊維は、免疫細胞が集まる腸内環境を整えてくれることで良好な免疫機能を維持する。
◆グリークヨーグルトのサラダ仕立て
濃厚でクリーミーな食感のグリークヨーグルトは、水切り製法で作られたギリシャ発祥のヨーグルト。間食としてだけではなく、食事としても楽しめる。
作り方はとても簡単。水切りしたグリークヨーグルトを作れば、あとはスモークサーモンやアボカド、ナッツや調味料と合わせるだけ。お好みでバケットやディルを添える。前日夜に水切りをしておけば、朝食にも手軽に作れるのが魅力である。抗酸化作用を持つビタミンCを含むグレープフルーツなどを添えるのもおすすめだ。
【材料】(2人分)
・ヨーグルト 1パック(400g)
・スモークサーモン 50g
・アボカド 1個
・アーモンド 10粒
・すりおろしにんにく 小さじ1/2
・オリーブオイル 大さじ1
・黒こしょう 少々
・ディル バケット お好みで
【作り方】
①高さのあるボウルにキッチンペーパーを敷いた一回り大きめのざるを置き、ヨーグルトをのせたら、ラップをかけ、上に皿等で重石をして半日ほど水抜きをする。(硬さはお好みですが、400g→180g程度になるのが目安である)
②アボカドはスライスする。①にすりおろしにんにくを混ぜ合わせる。
③ ①を器に盛り、アボカド、スモークサーモンをのせ、黒こしょう、オリーブオイルをかける。
好みでバケット、ディルをそえる。
①でヨーグルトから出た水がざるの底にあたらないよう、水が溜まってきたら取り除こう。溜まった液はホエーと言い、水溶性のたんぱく質やビタミン等を含むため、ドリンク等に混ぜて飲むのもおすすめだ。
栄養のポイント
・ヨーグルトに含まれるプロバイオティクス(善玉菌)は免疫細胞が集まる腸内環境を整え、免疫システムを活性化させることで病原菌から体を守る働きをサポートする。
・スモークサーモンは、タウリン、たんぱく質や炎症を抑えるオメガ-3脂肪酸、感染症への防御力を上げてくれるビタミンDなど、豊富な免疫対策の栄養素を持つ食材である。
・アーモンドは、抗酸化作用のあるビタミンEや腸内環境を整える食物繊維を含む。
◆レンジでタイパボンゴレ
タイパ重視派ならばぜひ活用したい、電子レンジで作るパスタ。鍋やフライパンで調理したり、たっぷりのお湯を沸かしたりする手間を省いた上、洗い物も少なく済むのが楽。耐熱ボウルにスパゲッティとソースの材料を入れ加熱し、時間差であさりを入れて仕上げる簡単レシピだ。
感染症対策ならば、おすすめは栄養価が高まるトマトソースベースのボンゴレロッソである。
【材料】(2人分)
・スパゲッティ 200g
・あさり(砂抜き済み) 160g
A カットトマト缶 1缶
A オリーブオイル 大さじ2
A コンソメ顆粒 小さじ2
A すりおろしにんにく 小さじ1
A 砂糖 小さじ2
A 水 300ml
【作り方】
①高さのある大きめの耐熱容器に、スパゲッティを半分に折り、十字に重ねて入れ、Aを加え、ふんわりとラップをし、600Wの電子レンジで8分加熱する。
②一度取り出し、パスタがほぐれるまで混ぜたら、あさりをのせ、ふんわりとラップをし、更にあさりの口があくまで3分加熱する。
ラップを開ける際には、蒸気の吹き出しによるやけどに十分注意。加熱時間は、ワット数、スパゲッティの量・種類や水温等により異なる。様子をみながら適宜調整する。
栄養のポイント
・あさりには免疫機能調整に役立つ栄養素が豊富に含まれています。あさりに含まれるタウリンは免疫機能を整えることに役立つ栄養素で、肝臓の解毒作用を助ける働きがある。
免疫細胞の増殖や活性化、炎症反応の調整に役立つといわれる核酸、皮膚や粘膜の修復を助け、炎症反応を適切に調整してくれる亜鉛も含む。
・トマトは過剰な活性酸素を除去するビタミンCやリコピンを含むが、リコピンはオリーブオイル等の油脂と一緒にとることや、加熱することにより吸収率が高まると言われている。
・また、オリーブオイルに含まれるビタミンEは抗酸化作用を有するが、あさりに含まれるタウリンがフリーラジカル(活性酸素種)を取り除いて細胞障害を軽減する抗酸化作用をサポートしてくれると考えられている。