ポンペ病新規治療薬候補導入で米国メイズ社とライセンス契約締結 塩野義製薬

 塩野義製薬は10日、米国メイズ社とポンペ病に対する新規治療薬候補「MZE001」の導入に関するライセンス契約を締結したと発表した。
 同契約の締結により、塩野義製薬はMZE001の全世界における独占的開発権・製造権・販売権を獲得する。また、メイズ社に対しては、契約締結に伴う一時金1億5000万ドル(約233億円)と、今後の開発進展や承認の取得、製品上市後の販売額に応じたマイルストン、および販売額に応じたロイヤリティーを支払う。
 ポンペ病は、細胞内でのグリコーゲンの分解に必要な酵素が生まれつき足りないために、全身の細胞(特に筋肉の細胞)にグリコーゲンが蓄積することで、筋力の低下や歩行障害、呼吸器障害、心機能障害など様々な症状を発症する先天性の代謝異常疾患である。
 世界でのポンペ病の患者数は5万人と推定されている。現在、ポンペ病の治療は、グリコーゲンの分解に必要な酵素である酸性α-グルコシダーゼ(GAA)を補充する酵素補充療法(ERT)が中心であるが、単独の治療では症状の改善効果やその持続性に多くの課題が存在し、新たな治療選択肢が求められている。
 メイズ社から導入したMZE001は、同社が設計・開発した低分子の経口薬で、米国では希少疾患用医薬品の指定を受けている。同剤は、グリコーゲンの合成を担う酵素であるGlycogen synthase1(GYS1)を阻害し、筋肉中のグリコーゲン濃度を低下させることで症状の改善が期待できる。
 既に実施されているP1試験において、筋肉中のグリコーゲン濃度の低下作用が確認されている。また、既存のERT とは作用メカニズムが異なることから、単剤に加え、ERT との併用での治療効果も期待できる。今後、MZE001の単独療法、ERTとの併用療法それぞれの適応を目指して塩野義製薬がP2試験を開始する。

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