乳がん、前立腺がんの新たな治療選択肢 抗悪性腫瘍剤PARP阻害薬「ターゼナ」新発売 ファイザー

 ファイザーは23日、乳がん、前立腺がん患者の新たな治療選択肢となる抗悪性腫瘍剤「ターゼナ」を新発売したと発表した。
 同剤は、1日1回投与の経口治療薬。DNA修復など細胞内で重要な役割を果たす酵素のポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP:poly ADP-ribose polymerase)の触媒活性抑制とトラッピングという2つの作用機序によりPARP1とPARP2を強力に阻害することで、相同組換え修復(HRR:Homologous Recombination DNA Repair)遺伝子に変異を有する腫瘍細胞で合成致死を誘導する。
 BRCA遺伝子変異がある腫瘍細胞ではHRRが十分に起こらないため、同剤のPARP阻害作用により腫瘍細胞死を誘導し、治療効果を発揮すると考えられている。
 同剤は日本において、単剤による「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」、および本剤とエンザルタミドとの併用による「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」の治療薬として2023年2月24日に製造販売承認を申請、2024年1月18日に承認を取得、4月17日に薬価基準に収載された。
 同剤の承認は、乳がんはBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん患者を対象とした海外P3試験(EMBRACA試験)および国内P1試験等、前立腺がんは転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした国際共同P3試験(TALAPRO-2試験)の結果に基づいている。
 日本では、アステラス製薬が製造販売業者となっている。

◆ジョンポール・プリシーノ ファイザー取締役執行役員オンコロジー部門長のコメント
 今回のターゼナの発売により、乳がんと前立腺がんの患者さんへ新たな治療法をお届けし、アンメットメディカルニーズに貢献し続けられることを嬉しく思う。
 当社はこれまで、乳がん、腎がん、肺がん、血液がんを含むさまざまな種類のがんに対する治療薬や重要かつ有益な疾患情報を提供することで、患者さん、ご家族、医療従事者の皆様に貢献したいと考え、オンコロジー領域の事業を展開してきた。
 今後も関連学会や医療機関と連携し、自社医薬品の適正使用推進に努めるとともに、がんと闘う患者さんとそのご家族に新たな希望をお届けできるよう新薬開発に取り組んでいく。

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