ボルノレキサント 不民眠症対象のP3試験で好結果 大正製薬

 大正製薬は3日、不眠症を予定適応症として日本国内で開発中のオレキシン受容体拮抗剤「ボルノレキサント」について、多施設共同無作為化プラセボ対照並行群間比較試験として実施した国内P3試験(TS142-301試験)において、良好な結果を得たと発表した。同試験結果の詳細は、論文および学会等で発表する予定である。
 TS142-301試験は、不眠症患者596名を対象にボルノレキサント(5 mg、10 mg又はプラセボを1日1回)を2週間投与し、睡眠潜時(sSL、主要評価項目)及び睡眠効率(sSE、重要な副次評価項目)のベースラインからの変化量について、睡眠日誌による患者様の主観的評価を用いて、プラセボに対するボルノレキサントの優越性を検証したもの。
 その結果、有効性については、ボルノレキサント5 mg群、10 mg群のいずれにおいても、入眠効果を評価するsSL及び睡眠維持効果を評価するsSEともに、プラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められた(いずれの評価項目、用量ともP<0.001)。
 安全性については、確認された有害事象のほとんどが軽度であり、重篤な有害事象は認められなかった。主な有害事象は傾眠(5 mg群で3.1 %、10 mg群で3.6%、プラセボ群で1.5%)及び上咽頭炎(5 mg群で0.5 %、10 mg群で3.0%、プラセボ群で1.5%)であり、中止に至った有害事象は発熱(プラセボ群で1例)であった。
 ボルノレキサントは、大正製薬の研究所で創製されたオレキシン受容体拮抗剤である。オレキシン受容体阻害作用の維持と脂溶性の低減という相反する特徴を併せ持ち、分布容積が小さく消失半減期が短いという薬物動態プロファイルを示すことから、不眠症治療薬の課題の1つである「投与翌日の持ち越し効果」の懸念が少ない不眠症治療薬としての開発を進めている。
 これまでに、健康成人を対象としたP1試験においても消失半減期が1.32-3.25時間と短いことを確認しており、またPSGによる客観的評価を用いた不眠症患者様を対象としたP2試験においてproof of conceptも達成している。
 今回、検証試験であるTS142-301試験において、不眠症治療におけるボルノレキサントの有効性と安全性が確認されたことから、今後同試験結果等をまとめ、国内において医療用医薬品として承認申請を行う予定である。

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