LD/CD持続的皮下投与パーキンソン病治療薬ND0612 P3試験で好結果 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は19日、開発中のLD/CDを持続的に皮下投与するパーキンソン病治療薬ND0612について、運動症状の日内変動を有するパーキンソン病患者を対象としたP3試験において、有効性、安全性および忍容性で好結果を得たと発表した。同試験結果は、15日(英国時間)に「The Lancet Neurology(ランセット・ニューロロジー)」誌に掲載された。
 ND0612は、レボドパとカルビドパ(LD/CD)を液剤化し、注入ポンプを用いて患者に24時間持続皮下投与する治療法である。経口のLD/CD治療では、レボドパの血中濃度の変動により安定した臨床効果を得るのが難しいというアンメット・メディカル・ニーズがある。
 ND0612は、LD/CDの皮下投与により、従来の経口治療と比べてレボドパの血中濃度を持続的に安定させて薬物動態プロファイルを改善し、パーキンソン病患者の運動症状の日内変動を減少させることが期待される。
 ND0612のP3試験は、田辺三菱製薬の完全子会社であるニューロダーム社が実施したもので、運動症状の日内変動を有するパーキンソン病患者を対象に、レボドパ/カルビドパ(LD/CD)を24時間持続皮下投与するND0612投与群(ND0612群)と、LD/CDの経口即放剤投与群(経口剤群)における有効性、安全性および忍容性を比較評価した。主な試験結果は次の通り。
 ◆ND0612群は経口剤群に対し、主要評価項目である「日常生活に支障のあるジスキネジアを伴わないON時間」を統計学的に有意(p<0.0001)に改善した。(1.72時間)

◆ND0612群は経口剤群に対し、主要な副次評価項目である「OFF時間(薬が効いていない時間)」を統計学的に有意(p<0.0001)に短縮した。(1.40時間)

◆その他、次の副次評価項目についても、統計学的に有意な結果を示した。

・「国際パーキンソン病・運動障害疾患学会-パーキンソン病統一スケール(MDS-UPDRS)パートII(日常生活動作)」(-3.05[-4.28、-1.81]、p<0.0001)

・「全般的印象評価尺度-変化(PGIC)」(オッズ比[以下「OR」]:5.31 [2.67, 10.58], p<0.0001)

・「臨床全般改善度(CGI-I)」(OR: 7.23 [3.57, 14.64], p<0.0001)

◆安全性プロファイルは同様で、いずれの群でも発生頻度が最も高かった有害事象は注入部位反応だった(ND0612群は57%、経口剤群は43%)

◆一部の注入部位反応(注入部位結節、注入部位内出血、注入部位感染、注入部位紅斑、注入部位疼痛、注入部位焼痂、および注入部位腫脹)の発生頻度は、経口剤群よりND0612群で高かった。投与期間中に何らかの理由で治験を中止した被験者はND0612群では6%(有害事象による中止は5%)、経口剤群ではそれぞれ6 %と3%だった。
 田辺三菱製薬グループは、研究開発の重点領域に定める中枢神経領域において、神経変性疾患に向きあうすべての人に新しい治療の選択肢を届けるための取り組みを進めている。
 同治験結果の論文掲載により、LD/CDを持続的に皮下投与するND0612が、運動症状の日内変動を有するパーキンソン病患者にとって新たな治療の選択肢となることが期待される。

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