新社会人の6割は「社会人として多少の不調は我慢すべき」、先輩社会人の8割は「社会人だからといって不調を我慢しなくていい」
ツムラは、心身の不調を無理に我慢することなく、誰もがいつでも心地よく生きられる健やかな社会を目指し2021年より「#OneMoreChoiceプロジェクト」に取り組んでいる。
同プロジェクトの一環として、新たに始まる社会人生活で起こり得る「隠れ我慢」に着目し、この春から働く新社会人1000人と、社会人歴3~5年目の先輩社会人1000人に「働くことと不調に関する意識調査」を実施した。
その結果、新社会人と先輩社会人とで、仕事における心身の不調に対する考え方の違いが明らかになった。また、調査結果について、メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子氏にコメントがコメントした。新社会人と先輩社会人に聞く、「働くことと不調に関する意識調査」の調査概要と主な調査結果は次の通り。
【調査概要】
◆実施時期:2024年1月5日~ 1月12日
◆調査手法:インターネット調査
◆調査対象:2024年4月に新社会人になる予定で高校・専門学校(短大含む)・大学・大学院に在籍中の男女1000人、有職者で社会人歴3年~5年目の20代・30代男女1000人
◆調査委託先:マクロミル
【主な調査結果】
◆2024年4月から働く予定の新社会人1,000人への意識調査
4月から働く新社会人は「全力で頑張りたい」「早く成長したい」
“Z世代だから”という特別扱いや、負荷が低すぎて「やりがいが感じられない職場」は望まない傾向も
2024年4月から働く予定の新社会人1000人を対象に、社会人となるに当たっての気持ちを聞いた。調査時点での対象者は、再就職などは含めず、現在高校・専門学校・大学(短大含む)・大学院に在籍していて、2024年3月に卒業後、働く予定の人。
まず、4月から新社会人として働くに当たっての現在の心境を聞くと、約8割が「仕事を全力で頑張りたい」(80.4%)、「なるべく早く成長したい」(78.4%)と答えた。
働く意欲は高く、約7割が「Z世代だからと甘やかされたくない」(68.9%)、「負荷が低すぎてやりがいを感じられない職場は嫌だ」(67.4%)と答えており、甘やかされる・ゆるすぎる職場は望んでいないようだ[図1]。
■社会人として「頑張るべき」と意気込むあまり
「多少の不調は我慢」「休まず頑張る」「周りに迷惑をかけてはいけない」と隠れ我慢への懸念も
この春から働く新社会人が、学生の時点で思う「社会人として取るべき行動や考え方」を聞くと、約8割が「周りが頑張っている
ときは、自分も頑張るべきだ」(80.5%)、「自分の不調が原因で、周りに迷惑をかけてはいけない」(75.6%)と答えている。
また、約7割が「新社会人のうちは、なるべく休まず頑張るべきだ」(69.0%)、6割が「仕事においては、多少の不調は我慢すべきだ」(60.0%)と答えている[図2]。
頑張りたい、成長したいという意欲の半面、不調でも休んではいけない、我慢して頑張らなければ…という先入観やイメージがあり、社会に出てから隠れ我慢をしてしまう可能性が見えてきた。
[図2]社会人として取るべき行動・考え方
【2024年4月から働く予定の新社会人1000人への意識調査】
■社会人として頑張りたいという強い思いの半面、新社会人の約9割が新社会人生活に不安を感じている
人間関係や生活リズム、コミュニケーションのほか、半数以上が「心身の不調にも不安あり」
この春から働く予定の新社会人に、新社会人生活で不安に感じていることを聞いた。すると、新社会人の92.9%が何らかの不安を感じ[図3-1]、中でも心身の不調に関して不安を感じる新社会人は55.1%と半数を超えることが分かった
[図3-2]。
不安を感じている内容は、「人間関係がうまくいくか」(56.4%)、「新しい生活リズムになじめるか」(44.5%)、「コミュニケーションがとりやすいか」(43.9%)など、これから働くことに対しての不安が上位に挙がったが、「仕事の影響で精神面の不調が出ないか」(34.7%)、「不調を感じたとき、周りに相談できるか」(31.0%)、「仕事の影響で身体的な不調が出ないか」(30.5%)など、心身の不調に対する不安を感じる新社会人も少なくないようだ[図3-3]。
働くことに関する不安を具体的に聞くと、「不調による早退は可能か」(18歳・女性)、「頭痛持ちや胃が弱いなど、慢性的な体調不良によって、仕事への支障を来すかもしれないときはどうすればいいか」(17歳・女性)などが寄せられた。
【社会人歴3〜5年目の先輩社会人1000人への意識調査】
■社会人歴3〜5年目の先輩社会人の約8割が、新社会人の頃に不調を隠れ我慢して働いた経験あり
女性の先輩社会人の約8割が「生理・PMSの悩み」で隠れ我慢していた
次に、社会人歴3~5年目の20代・30代の先輩社会人の男女1000人に、社会人になってからの不調の経験について聞いた。
まず、自分が新社会人として働いていた頃(社会人になって1年以内)、心身の不調を我慢して働く「隠れ我慢」の経験があるかと聞くと、21.3%が「頻繁にあった」、39.7%が「時々あった」、23.8%が「ほとんどないが経験はある」と答えた。
先輩社会人の84.8%が、新社会人の頃に隠れ我慢を経験している[図4]。隠れ我慢をした経験は、男性(81.7%)より女性(88.2%)に多く、「新社会人時代に生理・PMSの悩みを我慢して働いた経験がある」と答えた女性の先輩社会人は81.5%にも上った[図5]。
■先輩社会人の3人に1人が「新社会人の頃に頑張りすぎて、体調を崩した経験がある」
先輩社会人に新社会人の頃について聞くと、60.8%が「1年のうちでも4月は不調を我慢しがち」と答えている。実際、入社後初めの3カ月間に無理して頑張りすぎて、後で体調を崩してしまった経験を聞くと、3人に1人が「頑張りすぎて体調を崩した経験がある」(34.1%)と答えた[図6]
■社会人歴3~5年目の先輩社会人の 新社会人に対する思い
先輩社会人の約8割が、「社会人だからといって不調を我慢しなくていい」「無理せず相談してほしい」
「無理しないことが大切」と新社会人にアドバイス
新社会人の頃に隠れ我慢をしていた先輩社会人に対し、後輩にあたる今年の新社会人に対する思いを聞いた。
まず、自身が社会人として経験を重ねてきたことを踏まえて、新社会人に対してどのように考えるか聞くと、先輩社会人の約8割が「社会人だからといって不調を我慢しなくていいと思う」(79.9%)と答え、「不調を感じてつらいときは、無理せず周りに相談してほしいと思う」(81.7%)、「新社会人時代こそ、無理しないことが大切だと思う」(81.5%)と答えている[図7]。
新社会人時代に無理をして隠れ我慢してしまった経験に基づいた、先輩社会人からの実感のこもったアドバイスとなっている。
■社会人歴3~5年目の先輩社会人が 新社会人に伝えたいこと
先輩社会人の8割以上が「心身の不調を我慢しないでほしい」、約9割が「心身の不調時に我慢する
以外の考え方や行動をとれるようサポートしたい」、新社会人に同じ轍を踏ませたくないという強い思いも
新社会人の頃に隠れ我慢の経験が1度でもある先輩社会人848人に、新社会人に伝えたいことを聞いた。すると、先輩社会人の8割以上が「心身の不調を我慢しないでほしいと伝えたい」(81.1%)と答えた。
また、新社会人が不調のとき、彼らが我慢する以外の考え方や行動を取れるようサポートしたいかと聞くと、約9割が「サポートしたい」(89.0%)と答え、「新社会人と一緒に、心身の不調時に我慢しなくて済む環境を作っていきたい」(89.5%)と答えている[図8]。
自分が新社会人の頃に隠れ我慢をしたからといって、後輩に我慢を強いることはなく、先輩社会人の多くが何かと不安な後輩を優しく迎えたいと考えているようだ。
【社会人歴3〜5年目の先輩社会人1000人への意識調査】
■先輩社会人から新社会人へアドバイス
心身の不調時に思い出してほしい、「我慢」以外の選択肢とは?
不調時に我慢する以外の考え方や行動を取れるようサポートしたいと考える先輩社会人から、後輩の新社会人に不調時の対応について具体的なアドバイスをもらった。すると、「不調を周りに伝えて、もしものときにカバーしてもらえるようにしておく」(社会人3年目・男性)、「80%の力で仕事をしたり、サプリや栄養ドリンクを取ったりすることもおすすめ」(社会人4年目・女性)など、実践的なアドバイスが届いた。
■先輩社会人から新社会人へ、やさしい応援メッセージも!
また、新社会人へのエールとして、「社会人生活はマラソンなので不調を感じたら力を抜いていい!」(社会人4年目・女性)、「自分で自分を褒めてあげること」(社会人3年目・男性)など、頑張りすぎずに一緒にやっていこう!という温かいメッセージも届いた。
【メンタルケア・コンサルタント 大美賀 直子さんのコメント】
「不調でも頑張らなきゃ!」と無理しがちな新社会人。隠れ我慢を減らすために不調時にできること
■頑張りすぎて不調が生じがちな新社会人、体とメンタル両面のケアでコンディションを整えよう
今回の調査結果から、「社会人たるもの、心身の不調を感じても我慢するべき」と思っている新社会人が多いことが分かる。無理なく仕事を続けていくには健康管理をどのように行うべきか、新社会人が把握するまでには時間がかかる。
仕事で疲れているにもかかわらず自主的に残業をしたり、プライベートをセーブできずに遊び疲れてしまったり、エネルギーを使いすぎて心身に不調を来すケースが多々見られる。
また、心身の不調を感じても、「先輩からできない人と思われたくない」「同期に後れを取りたくない」と、社会人生活を頑張りたい気持ちが強いあまりに、隠れ我慢をしてしまうこともある。
新社会人が陥りやすい不調には、「倦怠感、頭痛、胃痛などの症状」「風邪や感染症」といった体に起こる不調、「生理痛・PMSなどの婦人科系の症状」のほか、「自分を責めてしまう」「強い不安を感じる」といったメンタル面の不調が挙げられる。
対策としては、しっかり睡眠をとって疲れを癒やす、栄養バランスのよい食事をとる、疲れを感じたら早めに帰宅してしっかり休むなど、体をいたわってあげたい。心を休めることも重要なので、つらいと感じたら一人で抱え込まず周りの人に相談する、休日はレジャーとリラックスをバランスよく楽しむ、友人や仲間と楽しくおしゃべりしてストレスを発散させるなど、リラックスとリフレッシュも忘れずに。自分に合ったケアで、コンディションを整えよう。
■不調を感じたら“こまめに相談すること”も大切な選択肢の一つ。
隠れ我慢しなくていい職場環境をみんなでつくっていこう
働き方改革やコロナ禍を経て、働く人の意識が少しずつ変化している。調査結果からも分かる通り、多くの先輩たちがかつて隠れ我慢を経験しているが、「自分も苦しみに耐えてきたのだから後輩も同じように頑張るべき」とは考えていないようだ。
むしろ、多くの先輩たちが「後輩が不調を隠れ我慢しないようサポートしたい」「無理せずに続けられる働き方に変えていこう」と答えている。
従って、新社会人は先輩に「不調を相談すると迷惑かも」「評価が下がるかも」と気にしすぎなくても大丈夫。自身の経験上、「最初
から完璧でなくてもいい」と思ってくれている先輩たちがたくさんいるので、安心して相談しよう。
「自分のことを頼ってくれた」とうれしく感じる先輩社会人も多いはずである。かしこまって相談するというよりも、業務上の「報連相」と同じだと考え、不調を感じたらこまめに伝えると良いかもしれない。
先輩社会人の人々は、後輩の様子を見て、あいさつの声が小さくなった、だるそうにしているなど、以前と比べて心配に感じることがあれば、率先して声をかけてあげよう。
新社会人の考え方は一人一人違うため、我慢して頑張りたい!という人もいれば、自分に設定するハードルが低い人もいる。個性を観察してみて、前者には「頑張りすぎないでいこう」、後者には「もう少し頑張ってみよう」など、柔軟な声かけができると良い。
また、先輩自身が不調を隠れ我慢せず、心身をきちんとケアする姿を見せることも大事である。不調が起こるのはお互いさまでなので、助け合って、我慢しなくていい環境を一緒につくっていこう!という関係が築けると良い。