ADHDデジタル治療用アプリSDT-001 国内で製造販売承認申請 塩野義製薬

 塩野義製薬は26日、小児の注意欠如・多動症(ADHD)患者を対象としたデジタル治療用アプリSDT-001について、2月26日付けで日本での製造販売承認を申請したと発表した。
 SDT-001は、同社がAkili社から日本および台湾における独占的開発権・販売権を取得したもの。Akili社は、これまでに8~17歳の小児のADHD患者での不注意症状の改善に用いる世界初のデジタル治療用アプリとして、米国FDAの承認を取得している(米国での製品名:EndeavorRx)。
 また、欧州ではCEマークを取得している。CEマークは、欧州経済地域EEA(European Economic Area)へ製品を出荷流通する時に必要とされる表示基準で、市場流通する製品の安全水準が確保されていることを客観的に示すマーク表示だ。
 今回、国内における製造販売承認申請は、塩野義製薬が日本で実施したP3試験の良好な結果に基づいている。同試験は、ADHD治療で通常行われる環境調整や心理社会的治療が実施された6~17歳の小児ADHD患者164名を対象に、SDT-001の有効性と安全性の評価を目的に実施された。
 その結果、主要評価項目としたADHD重症度評価尺度であるADHD-RS-IV不注意スコアのベースラインからの変化量について、SDT-001群(1日1回約25分を6週間 [1サイクル] 継続)は、通常治療群(環境調整や心理社会的治療継続)に対して、治療開始6週時点で統計的に有意な改善を認め(p<0.05)、同試験における主目的を達成した。
 主要な副次評価項目としたADHD-RS-IVの合計スコアおよび多動/衝動性スコアのベースラインからの変化量についても、SDT-001群は通常治療群に対して、治療開始6週時点で統計的に有意な改善が認められた(p<0.05)。
 SDT-001群において安全性で問題となる有害事象、および重篤な有害事象の発現は認められなかった。また、SDT-001を2サイクル使用しても症状改善がみられ、安全性で問題となる有害事象は見られなかった。
 塩野義製薬は、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」というSHIONOGI Group Visionを定め、その実現に向けてヘルスケアサービスを提供する「HaaS企業」への変革を掲げている。
 同社は、これまで培った創薬型製薬企業としての強みを磨きつつ、外部パートナーとの連携を含めた取り組みを強化し、医療用医薬品の提供だけにとどまらない多様な治療選択肢を提供することで、患者とその家族のQOL向上に貢献していく。

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