Augtyro 米国FDAが非小細胞肺がんの治療薬として承認 ブリストル マイヤーズ スクイブ

 ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)は4日、次世代チロシンキナーゼ阻害剤Augtyroについて、米国FDAが局所進行または転移性ROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者の治療薬として承認したと発表した。
 経口薬として投与されるAugtyroは、ROS1発がん性融合遺伝子を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)で、同承認は、TKIの投与歴がない患者と投与歴がある患者を対象にAugtyroを評価したP1/2相非盲検単群TRIDENT-1試験の結果に基づくもの。
 TKIの投与歴がない患者(71例)において、主要評価項目であり、特定期間の治療により腫瘍の大きさが縮小した(部分奏効)またはがんの兆候が見られなくなった(完全奏効)患者の割合と定義された奏効率(ORR)は、79%(95% 信頼区間 [CI]:68 – 88)であった。
 奏効期間の中央値(mDOR)は34.1カ月であった。1種類のROS1 TKIの投与歴があり、かつ化学療法の投与歴がない患者(56例)におけるORRは38%(95% CI:25 – 52)、mDORは14.8カ月であった。ベースラインで測定可能な中枢神経系(CNS)転移を有していた患者では、TKIの投与歴がない群(71例)の8例中7例、TKIの投与歴がある群(56例)の12例中5例で、頭蓋内病変での奏効が認められた。
 Augtyroの「警告および注意」には、次の事象が含まれている:中枢神経系(CNS)への影響、 間質性肺疾患(ILD)/肺臓炎、肝毒性、クレアチンホスホキナーゼ増加を伴う筋肉痛、高尿酸血症、骨折および胚胎児毒性。
 Augtyroは、ROS1陽性の転移性NSCLC患者において、特定の薬剤耐性の獲得につながる相互作用を最小限に抑えるよう設計されている。米国では、2023年12月半ばより利用可能になる予定である。
 
◆TRIDENT-1試験治験責任医師のJessica J. Linハーバード大学医学大学院医学助教授(マサチューセッツ総合病院胸部がんセンターのアテンディングフィジシャン、MD)のコメント
 ROS1融合遺伝子陽性のNSCLC患者さんに対しては、依然として、持続的な治療効果といった重要な臨床目標の達成を支援する新しい治療選択肢が必要とされている。
 TRIDENT-1試験で認められたデータにより、レポトレクチニブは、局所進行または転移性ROS1融合遺伝子陽性肺がん患者さんの新しい標準治療となる可能性がある。

◆Samit Hirawat BMSエグゼクティブ・バイスプレジデント、最高医療責任者兼グローバル医薬品開発担当(MD)のコメント
 NSCLCの治療法は過去十年間で進展したものの、この特に治療困難なタイプに対しては、革新的サイエンスと標的アプローチによる治療法がいまだ必要とされている。
 ROS1陽性のNSCLC患者さんに対し唯一承認された次世代TKIであるAugtyroは、胸部がんの患者さんに革新的医薬品を提供してきた当社の実績に基づいている。

◆Janet Freeman-Daily患者支援団体「ROS1ders」共同設立者兼プレジデントのコメント
 ROS1陽性のNSCLC患者さんとその家族は、闘病において精神的な負担に直面する。このがんは難治性の場合があり、脳に転移した場合はさらに治療困難であるためである。
 本日の承認は、ROS1陽性の患者コミュニティに新しい治療選択肢をもたらし、大切な人とより長い時間を過ごす希望を与えてくれる。

タイトルとURLをコピーしました