キイトルーダと同時化学放射線療法の併用療法 高リスク局所進行子宮頸がんP3試験で好結果 MSD

 MSDは17日、キイトルーダと同時化学放射線療法の併用療法について、新たに高リスク局所進行子宮頸がんを対象とするP3試験において同時化学放射線療法単独と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したと発表した。
 新たに高リスク局所進行子宮頸がん(FIGO2014分類に基づくリンパ節転移陽性のⅠB2-ⅡB期、リンパ節転移の有無を問わないⅢ-ⅣA期)と診断された患者さんを対象に、抗PD-1抗体キイトルーダと、「化学療法同時併用下で実施する外部照射による放射線治療(EBRT: external beam radiotherapy)とそれに続く小線源療法」(同時化学放射線療法)の併用療法を評価するP3相KEYNOTE-A18試験(ENGOT-cx11/GOG-3047)の結果を公表したもの。
 同試験では、対象の患者さんにおいてキイトルーダと同時化学放射線療法の併用療法が、同時化学放射線療法単独と比較して統計学的に有意で臨床的に意味のある無増悪生存期間(PFS)の延長を示した。
 この結果は17日に2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会の最新の一般演題の中から選ばれた演題セッションとして初めて発表された。
 米国FDAが今回公開された結果に基づき、キイトルーダと同時化学放射線療法の併用療法を新たに高リスク局所進行子宮頸がんと診断された患者の治療薬として、生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の優先審査品目に指定している。FDAにより、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の審査完了予定日が2024年1月20日に設定されている。この結果は世界中の規制当局とも協議を進めていく。
 KEYNOTE-A18試験では、追跡期間の中央値は17.9カ月(範囲:0.9〜31.0カ月)で、キイトルーダとの併用療法群は同時化学放射線療法単独群と比較して対象患者の疾患進行または死亡のリスクを30%低減した(HR=0.70 [95% CI, 0.55-0.89]; p=0.0020)。
 PFSの中央値はいずれの群も未達であった。24カ月PFS率はキイトルーダとの併用療法群では67.8%、同時化学放射線療法単独群では57.3%であった。PFSの延長に加え、もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)についてもキイトルーダとの併用療法群では同時化学放射線療法単独群より良好な傾向(HR=0.73 [95% CI, 0.49-1.07])が観察されている。
 今回の中間解析時点では、OSのイベント数は両群を合わせて103件と限られており、OSのデータは不完全で、統計学的な有意差は示されていない。治験は現在も継続中で、OSのフォローアップを引き続き実施している。
 この試験におけるキイトルーダの安全性プロファイルはこれまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。

◆ガーセル・アクタンMSD研究開発本部グローバル臨床開発担当バイスプレジデントののコメント
 子宮頸がんは世界の女性において4番目に多いがんであるが、この20年間、局所進行がんと診断された患者さんに対する新たな治療の進歩は限定的であった。
 今回のKEYNOTE-A18試験の結果により、キイトルーダと同時化学放射線療法の併用療法が高リスク子宮頸がん患者さんの新たな治療の選択肢となる可能性が示された。キイトルーダは、特定の進行子宮頸がんに対する適応が確立されており、当社では早期がんに対する研究を進めている。

◆KEYNOTE-A18試験首席治験責任医師のドメニカ・ロルッソー教授(Catholic University of Rome産婦人科学准教授、ENGOTの主要治験責任医師)のコメント
 今回の試験は、新たに高リスク局所進行子宮頸がんと診断された患者さんを対象としたP3試験で初めて、がん免疫療法が標準治療と比較してPFSの延長を示した。
 特に、この20年間、この疾患の患者さんに対する治療の選択肢の進歩がみられなかったことから、キイトルーダとの併用療法群が同時化学放射線療法単独群と比較して疾患進行または死亡のリスクを30%低下させた今回の試験結果は注目せずにはいられない。

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