ダトポタマブ デルクステカン トリプルネガティブ乳がんのP1試験、P1/2試験結果公表 第一三共

 第一三共とアストラゼネカは12日、開発中のダトポタマブ デルクステカン(TROP2に対する抗体薬物複合体)について、トリプルネガティブ乳がんにおけるP1試験(単剤療法、TROPION-PanTumor01試験)およびP1/2試験(免疫チェックポイント阻害剤のデュルバルマブとの併用療法、BEGONIA試験)の最新データを公表した。米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2022)で公表したもの。
 TROPION-PanTumor01試験における有効性については、標準治療後に病勢進行した転移性のトリプルネガティブ乳がん患者44名において、客観的奏効率は32%、病勢コントロール率は80%、無増悪生存期間の中央値は4.4ヶ月、全生存期間の中央値は13.5ヶ月であった。
 また、トポイソメラーゼI阻害薬を結合させたADCによる前治療歴のない切除不能なトリプルネガティブ乳がん患者27名を対象としたサブグループ解析において、客観的奏効率44%、病勢コントロール率81%、無増悪生存期間の中央値7.3ヶ月、全生存期間の中央値14.3ヶ月であった。
 安全性については、新たな懸念は認められなかった。グレード3以上の主な有害事象は、口内炎(11%)、リンパ球数減少(7%)、疲労(7%)等であった。同剤と関連のある間質性肺疾患(ILD)はみられなかった。
 BEGONIAにおける有効性では、前治療歴のない転移性または局所再発性の切除不能なトリプルネガティブ乳がん患者53名において、客観的奏効率は73.6%であった。奏効はPD-L1発現の有無に関わらず認められ、持続性も確認された。
 安全性については、併用療法による新たな懸念は認められなかった。主な有害事象は、悪心(57.4%)、口内炎(55.7%)、脱毛症(45.9%)等であった。ILDについては、グレード1が2名(3.3%)に認められた。
 同剤は、両試験に加え、ステージ1-3のトリプルネガティブ乳がん患者を対象とした単剤療法およびデュルバルマブ併用療法の安全性および有効性を評価するグローバルP3試験(TROPION-Breast03)を予定しており、最初の患者登録を2022年11月に完了している。
 第一三共とアストラゼネカは、転移性のトリプルネガティブ乳がん患者に新たな治療の選択肢を提供できるよう、広範な臨床開発プログラムを通じて同剤の開発を加速していく。

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