愛媛大学との新規マラリア発病阻止ワクチン開発プロジェクトがGHIT Fundの助成案件に選定 住友ファーマ

 住友ファーマは27日、愛媛大学、EuropeanVaccine Initiative(EVI、ドイツ)、iBET(ポルトガル)と4者共同で進めている「新規赤血球期マラリアワクチンPfRipr5 の前臨床開発(PfRipr5-PD)プロジェクト」(新規マラリア発病阻止ワクチン開発プロジェクト)が、グローバルヘルス技術振興基金(日本、GHIT Fund)の助成案件に選定されたと発表した。GHIT Fundからの助成金額は5億7000万円。
 愛媛大学と住友ファーマは、マラリア感染阻止ワクチンおよびマラリア伝搬阻止ワクチンについても共同研究を実施しており、それぞれの研究が GHIT Fund の助成案件として選定されている。
 同プロジェクトの対象となるワクチン製剤は、愛媛大学と住友ファーマの共同研究で見出された新規赤血球期マラリアワクチン抗原(PfRipr5)と、住友ファーマが持つ新規ワクチンアジュバント(TLR7 アジュバント:DSP-0546E)で構成されており、マラリア原虫の赤血球への侵入を阻害することによってマラリアの発病を阻止するワクチン候補製剤である。同剤が上市されれば、新規マラリア発病阻止ワクチンとして、流行地におけるマラリア防御の切り札となる可能性がある。
 マラリアは、蚊で媒介される寄生虫病で、患者数は2005年頃から減少傾向にあったが、2020年からの新型コロナウイルスによるパンデミック以降再び増加に転じ、依然として世界で2億人以上がマラリアに罹り、死亡者数も60万人以上に及んでいる(出典「World Malaria Report 2022」)。
 マラリア対策の切り札としてワクチン開発がこの40年間以上取り組まれてきたが、2021年にWHOから推奨された蚊からヒトへの感染を防ぐ第一世代のマラリアワクチン RTS,S/AS01 による有効性は約30 %と低く、より有効な次世代マラリアワクチンが切望されている。
 同プロジェクトは、2023年10月から2年間、EVI が代表者としてプロジェクト全体を管理および治験申請業務を担当し、iBET は、PfRipr5 の GMP 製造に向けたプロセス開発、CDMO への技術移転およびGMP製造の監督を担当する。
 愛媛大学は、PfRipr5のさらなる特性解析および本剤が誘導する抗体の機能評価を、住友ファーマはアジュバント製剤の提供および非臨床評価を担当する。
 4 者は、同プロジェクトの終了後に、欧州で臨床試験を開始する予定である。愛媛大学は、同プロジェクトを成功させることにより、画期的なマラリア発病阻止ワクチンの実現に向けた開発を推進し、グローバルヘルスの最重要課題の一つであるマラリア対策に貢献できることを期待している。
 住友ファーマは、愛媛大学および住友ファーマの共同研究にて得られた新規マラリアワクチン抗原および住友ファーマの持つ革新的な免疫アジュバント技術を活用して、新規マラリア発病阻止ワクチンの研究開発を行うことにより、グローバルヘルスへの貢献を目指す。

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