ドナネマブ 日本での早期アルツハイマー病に係る適応で承認申請完了 日本イーライリリー

 日本イーライリリーは26日、ドナネマブについて、アルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)およびADによる軽度認知症に係る適応で、日本国内における承認申請が完了したと発表した。
 今回の申請は、早期AD (ADによるMCIおよび軽度認知症)を有する人を対象にドナネマブの安全性および有効性を評価する試験(TRAILBLAZER-ALZ 2試験)に基づくもの。
 TRAILBLAZER-ALZ 2 試験参加者は、AD進行の予測バイオマーカーであるタウにおいて、タウの蓄積量が軽度~中等度の群(タウの蓄積量が中程度と言われる場合もある)と、早期 AD の中でも病理学的に後期に進行していることを示すタウの蓄積量が高度の群に層別化された。
 その後、Integrated Alzheimer’s Disease Rating Scale(iADRS)や Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes(CDR-SB)などを用いて、認知機能および日常生活機能の両方で全試験参加者を18ヵ月間にわたって評価した。
 タウの蓄積量が軽度~中等度の試験参加者(n=1,182)では、ドナネマブ投与により、iADRS で 35%、CDR-SB
で 36%と有意な臨床的悪化の遅延が認められた。アミロイド陽性の早期ADを有するすべての試験参加者(n=1,736)では、ドナネマブ投与により、iADRSで22%、CDR-SBで29%と有意な臨床的悪化の遅延が認められた。
 ドナネマブは、N3pGAβ(N末端第3残基においてピログルタミル化されたアミロイドβ)に対する遺伝子組換えモノクローナル抗体で、脳内に沈着したアミロイドプラークを特異的に標的とし、投与された試験参加者においてプラークの除去をもたらすことが示されている。
 ドナネマブの投与により、ベースライン時のAD の病期にかかわらず、アミロイドプラークのレベルが有意に低下した。ドナネマブを投与したすべての試験参加者で、18ヵ月の時点でのベースラインからのアミロイドプラークの低下は平均で84%、プラセボ群での低下は1%であった。
 試験参加者は、事前に規定したアミロイドプラーク除去の基準を達成した時点でドナネマブの投与を完了することができた。試験参加者の約半数が12カ月の時点でこの基準を達成し、約7 割は18カ月の時点でこの基準を達成した。
 TRAILBLAZER-ALZ 2試験の全ての結果は、Journal of the American Medical Association(JAMA誌)に掲載されている。
なお、米国FDAでの承認申請は、2023年第2四半期に完了している。

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