2023年日薬学術大会ランチョンセミナーに参加して PIT療法

 2023年日本薬剤師会学術大会in和歌山に参加してきました。ランチョンセミナー1、聖隷三方原病院 皮膚科 白濱 茂穂 先生による「帯状疱疹・単純疱疹 ~その治療選択肢が増えることのメリット~」を受講しました。
 帯状疱疹は、帯状に分布する皮膚病変と疼痛が特徴です。神経の損傷によって皮膚の症状が治った後も痛みが続くことがあり、これは帯状疱疹後神経痛PHNと呼ばれ、最も頻度の高い合併症です。内服薬を発症後すぐに服用することで早い回復を期待することができます。内服の抗ヘルペスウイルス薬はファムシクロビル・バラシクロビル塩酸塩・アシクロビルがあり、これらの薬剤は腎臓から排泄されるため、腎機能の低下等患者さんの基礎疾患等を配慮する必要があります。
 2017年7月には、肝臓で代謝され糞便中に排泄されるアメナメビルが登場しました。腎排泄型の薬剤を投与する場合、腎機能に応じた用量設定を行わないと急性腎不全などの薬剤性腎障害を起こす可能性があり投与には注意が必要となりますが、肝臓で代謝され糞便中に排泄されるアメナメビルではその可能性に対する注意の必要がないと言えます。アメナメビルの薬価は高いので、患者さんへの説明は必要かと思われます。
 口唇ヘルペスや性器ヘルペスは再発しやすく、頻回に再発する患者さんにおいては Patient Initiated Therapy(PIT)療法が本邦でも認められました。PIT 療法は、一般的には事前に処方されたファムシクロビル4錠をいつも携帯し、患者さん自身が再発を感じた瞬間に内服し、さらに12時間後に4錠を追加内服する治療法です。超早期療法で再発に悩んでいる患者さんにはメリットが大きいと思われます。
 アメナメビルは、再発性の単純疱疹に対して単回で6錠を服用します。6錠PTPシートをそのまま入れることができる専用携帯ケースもあります。
 多くの再発性の口唇ヘルペス患者さんは、口唇ヘルペスを何とかして治したい、早く治したいと強く感じています。疾患によって日常生活の広い範囲で我慢や節制などを強いられています。年間再発することで、感情面においても苦痛を感じているとデータから知ることができます。
 しかし、実際に口唇ヘルペスで病院を受診している患者さんは約半分で、残り半分のかたは市販の外用薬の使用や、自然治癒を待ち、回復には時間がかかっています。
 PIT療法では、次の症状が出る前に患者さんの都合の良いタイミングで受診をします。主治医からアメナメビルの場合では1回分(6錠)を処方していただき、専用携帯ケースでいつも一緒に持ち運びます。ピリピリ、チクチクなど患部の違和感、灼熱感、掻痒感が出現後6時間以内に口唇ヘルペスでは皮膚発現前に1回分(6錠)を服用します。ただし食後でないと作用が半減しますので、食前食間の場合は軽食を摂取した後30分以内に服用します。
 今回の受講で、薬局に来られた患者さんにもPIT療法を伝え、「主治医にPITを相談してはどうですか」とアドバイスするという選択肢が増えました。

                                薬剤師 宮奥善恵

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