レケンビ 国内でアルツハイマー病治療薬として製造販売承認取得 エーザイ

 エーザイは25日、「レケンビ」(一般名:レカネマブ)について、日本において「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果で、承認を取得したと発表した。
 アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体のレケンビは、アルツハイマー病(AD)を惹起させる因子の一つであり最も神経毒性の高いAβプロトフィブリルに選択的に結合して脳内から除去することで、ADの進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを実証し、承認された世界で初めてかつ唯一の治療薬である。
 日本においては、2023年1月に製造販売承認申請を行うとともに優先審査に指定されていた。今回の承認は、2023年7月の米国フル承認に次いで2カ国目となる。
 今回の承認は、エーザイが実施した大規模グローバルP3試験(Clarity AD試験)のデータに基づくもので、同試験において「レケンビ」は主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成した。
 主要評価項目は、全般臨床症状の評価指標であるCDR-SB(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)で、「レケンビ」はCDR-SBにおける18カ月時点の臨床症状の悪化をプラセボと比較して27%抑制した。
 また、副次評価項目の一つである、衣服の着脱、食事、地域活動への参加など当事者様が自立して生活する能力を介護者が評価するAD Cooperative Study-Activities of Daily Living Scale for Mild Cognitive Impairment(ADCS MCI-ADL)においては、プラセボと比較して37%の統計学的に有意なベネフィットが認められた。
 なお、「レケンビ」投与群で最も多かった有害事象(10%以上)は、Infusion reaction、ARIA-H(ARIAによる脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)、ARIA-E(浮腫/浸出)、頭痛および転倒であった。
 同試験の結果は、2022年11月29日に、アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表され、同時に査読学術専門誌the New England Journal of Medicineに掲載された。
 同剤の承認条件に従い、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、投与された全ての当事者様を対象に特定使用成績調査(全例調査)を実施する。
 また、医療関係者に対するARIAの管理とモニタリングの推進に向けた研修資材の展開をはじめ、添付文書に則った適正使用を推進していく。
 「レケンビ」について、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。日本においては、エーザイが製造販売元として販売を行い、エーザイとバイオジェン・ジャパンが共同販促を行う。

◆内藤晴夫エーザイCEOのコメント
 今回、我が国においてレケンビがアルツハイマー病の進行を抑制し日常生活機能を維持することを示した治療薬として初めて承認された。アルツハイマー病治療の歴史に新たなページを開くことができたと考えている。
 進行性の重篤な疾患であるアルツハイマー病は、当事者様や介護者の方々に大きな障害や負担をもたらすだけでなく、社会全体に対しても甚大な影響を及ぼす。エーザイは、筑波研究所で認知症の研究を始めて以来、約40年にわたり、当事者様や介護者の方々と交流させていただき、切実なるお気持ちを知る努力を重ねてきた。それに応えるべくアルツハイマー病の根本病理に作用する治療薬の開発に挑戦してきた。
 我々は、レケンビを病気の原因を取り除く新たな治療として、必要とする早期アルツハイマー病当事者様とそのご家族に適確にお届けすることに全力を尽くしていく。これにより日本社会における認知症の諸課題に対するインパクトの創出をめざしたい。

◆クリストファー A. ヴィーバッハー バイオジェンの社長兼CEOのコメント
 今回の承認により、アルツハイマー病が当事者の方々に及ぼす深刻な病状はもとより、介護を担う方々の心理的、社会的また経済的な負担に手を差し伸べられるようになる。
 バイオジェンとエーザイにとって、多くの方々に影響を与える本疾患の治療が新たな時代を迎えることを告げる意義ある一歩と考えている。バイオジェンとエーザイはこれからも力を合わせ、米国と日本での承認を礎に、全世界の当事者や家族の方々にこの治療選択肢を届けしていく。

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