エンハーツ 非小細胞肺がんP2試験で無増悪生存期間と全生存期間で未達 第一三共

 第一三共は11日、エンハーツ(抗HER2抗体薬物複合体[ADC])について、HER2遺伝子変異を有する切除不能・転移性の非小細胞肺がんを対象としたグローバルP2試験(DESTINY-Lung02)において奏効期間、無増悪生存期間と全生存期間が未達であったと発表した。
 無増悪生存期間と全生存期間に関する主要解析データは、世界肺がん学会(WCLC 2023)で初めて発表された。また、同試験結果は医学雑誌「The Journal of Clinical Oncology」に掲載された。
 DESTINY-Lung02では、有効性は、前治療歴のあるHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者(5.4mg/kg投与群 102名、6.4mg/kg投与群50名)において、いずれの投与群においても臨床的に意義のある有効性が示された。
 主要評価項目である客観的奏効率は49.0%(完全奏効 1名、部分奏効49名)と56.0%(完全奏効2名、部分奏効 26名)であった。奏効期間の中央値は16.8ヵ月と未到達、無増悪生存期間の中央値は9.9ヵ月と15.4ヵ月、全生存期間の中央値は19.5ヵ月と未到達であった。
 安全性については、新たな懸念は認められなかった。対象患者(5.4mg/kg投与群101名、6.4mg/kg投与群 50名)において、グレード73以上の有害事象として、好中球減少症(18.8%、36.0%)、貧血(10.9%、16.0%)等が認められた。
 間質性肺疾患(ILD)については、27名(12.9%、28.0%)がILD外部判定委員会により同剤と関連のあるILDと判定された。大部分が低グレードであり(10.9%、26.0%)、グレード3が1名(1.0%、0%)、グレード5(死亡)は2名(1.0%、2.0%)であった。
 なお、同剤は、米国において2022年8月にHER2遺伝子変異を有する切除不能・転移性非小細胞肺癌の二次治療を対象として承認され、日本においては、2023年8月に「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応として、承認を取得している。

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