米国感染症学会週間でゾコーバ、セフィデロコルの臨床試験データ含む16演題発表 塩野義製薬

 塩野義製薬は8日、10月11日~15日に開催される米国感染症学会週間Infectious Disease Week 2023(IDWeek 2023)で、新型コロナ経口治療薬「ゾコーバ」(エンシトレルビル)と新規シデロフォアセファロスポリン系抗菌薬「セフィデロコル」の臨床試験データを含む計16演題を発表することを明らかにした。
 IDWeek 2023で予定している発表の概要は以下のとおり。また、Qpex Biopharma Inc.1が開発中のβラクタマーゼであるxeruborbactamに関しても、「New Antimicrobials in the Pipeline Part 1」の演題の中でデータ発表を予定している。

 ゾコーバは、北海道大学と塩野義製薬の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬である。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しており、エンシトレルビルは3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制する。
 オミクロン株流行期に、重症化リスク因子の有無やワクチン接種の有無にかかわらず幅広い軽症/中等症患者を対象に実施したP2/3相臨床試験のPhase 3 partにおいて、オミクロン株に特徴的なCOVID-19の5症状に対する改善効果(主要評価項目)および抗ウイルス効果(主要な副次評価項目)が確認されている。
 これらの結果に基づき、日本においては2022年11月に緊急承認されている。米国では、FDAより開発の促進や審査の迅速化を目的とするファストトラック指定(Fast Track designation)を受領している。現在は、入院を伴わないSARS-CoV-2感染患者を対象としたSCORPIO-HR試験、入院患者を対象としたSTRIVE試験、家庭内濃厚接触者を対象としたSCORPIO-PEP試験、また6歳以上12歳未満の小児を対象とした国内P3相試験が進行中である。
 一方、セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬だ。細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生)による影響を受けずに抗菌力を発揮する。
 鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれる。
 その結果、セフィデロコルは、細菌のペリプラズム内に効率よく取り込まれ、細胞壁合成を阻害する。
 2019年に米国FDA、2020年に欧州医薬品庁(EMA)より承認を取得し、WHOの必須医薬品リストにも掲載されている。塩野義製薬は、グローバルにおけるセフィデロコルの価値最大化の取り組みを推進している。

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