ノバルティスは30日、遺伝性網膜ジストロフィーに対する遺伝子補充療法「ルクスターナ注」を新発売したと発表した。
対象は、両アレル性RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィーで、 眼科疾患における初めての遺伝子治療薬となる。
ルクスターナは、遺伝性網膜ジストロフィーの原因遺伝子の1つであるRPE65遺伝子の機能欠損を補う遺伝子補充療法で、各眼につき網膜下への1回の注射で治療が完了する。正常なRPE65遺伝子を組み込んだ病原性のないアデノ随伴ウイルス2型(AAV2)を利用し、正常なRPE65タンパク質を長時間安定して発現することで、RPE65 遺伝子変異がもたらすRPE65タンパク質の不足によって視覚障害が生じている遺伝性網膜ジストロフィーに対して視機能の改善をもたらす。
遺伝性網膜ジストロフィーは、進行性の視覚障害を伴う遺伝性網膜疾患の総称。その原因となる遺伝子は260以上が同定されている。そのうちRPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィーは、暗いところで目がみえにくくなる夜盲や視野が狭くなる視野狭窄、視力低下が主な症状で、進行すると失明に至る場合もある希少疾患だ。
薬価は、0.5mL 1瓶(希釈液2本付)4960万0226円、両眼投与で9920万0452円。
◆レオ・リー ノバルティス ファーマ代表取締役社長のコメント
対象となる患者さんは非常に希少だが、日本における眼科疾患で初めての画期的な遺伝子補充療法「ルクスターナ」を提供できることを大変嬉しく思う。
これまで治療法がなかったため、暗がりでの活動が制限されたり、視野が狭く、失明の不安を抱えながら生活している患者さんおよびそのご家族の人生を変えられる可能性がある。ルクスターナにより明るい未来を提供できることを心より願っている。
ノバルティスは、これまで治療不可能であった疾患の治療の可能性を開く細胞・遺伝子治療のような高度な治療プラットフォームの開発とアクセスの確立に取り組んでいる。
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