光工場でドローンによる夜間自動巡回を実用化 武田薬品

自動巡回へ飛び立つドローン

 武田薬品は29日、医療用医薬品を製造する光工場(所在地:山口県光市)において、8月より夜間の警備・点検・防災を目的としたドローンによる自動巡回を製薬企業として国内でいち早く実用化したと発表した。
 同施策は、医薬品、従業員、および地域コミュニティの安全をより確実にすることを目的としたもので、安全性と有効性の実証実験を経てスタートした。
武田薬品が実用化したドローンは、車よりも環境への負荷が少ない手段として、人による夜間の巡回を補強する。
 事前にプログラムしたルートに沿って自動飛行し、危険物取扱施設上空を巡回。全球測位衛星システム(GNSS)および光工場内に設置した基地局からの位置情報を受信することで、1cm単位での飛行設定を可能とする。
 夜間撮影に適し、200倍のズームが可能な高感度耐性カメラと赤外線カメラの2つにより、人が視認できない建物内の高熱化も感知可能で、いち早く火災を発見し、対処できる。
 また、万が一火災が起きた際、煙などで視界が不良になっていても火元が特定できる。ドローンの自動巡回中に不審なものや状況を認めた場合には、訓練を受け資格を有した警備担当がドローンの手動操作により詳細な状況を確認し、必要な対応を検討する。
 なお、ドローンから送られる映像は、視聴権限を付与されたPCやタブレットを使ってどこからでも確認できる。
 さらに、武田薬品は、光地区消防組合と災害時におけるドローンによる活動支援について、現在締結している「消防応援協定書」に追加する見直しを行い、再締結する予定だ。
 具体的には、災害発生後の捜索や被災状況の確認などのために、光地区消防組合からの要請に応じて同社からドローンを貸与するとともに操縦技術者を派遣する。
 武田薬品は今後、異常事態の検出や人への警告へのAI活用も視野に入れ、ドローン巡回から得られるデータをサプライヤーと積極的に共有し、ドローンのさらなる技術開発を支援していく。

ドローンのオペレーターと武田薬品担当者

◆赤星公一光地区消防組合消防本部消防長のコメント
 ドローンについては、近年頻発化している大規模水害や土石流災害において、その有効性が改めて確認されているところである。
 また、大規模災害に限らず、常時発生する災害(火災、捜索救助等)に対してもドローンの俯瞰的視点からの情報収集は、非常に有用である。
 今回、武田薬品と災害におけるドローンによる活動支援を含めた『消防応援協定』を再締結する運びとなり、大変心強く感じている。

◆グレッグ・ティモンズ武田薬品グローバル マニュファクチャリング&サプライ ジャパン ヘッドのコメント
 自然災害を始めとするあらゆる災害は、患者さんのみならず人々の健康に様々な形で影響を及ぼす。今回、災害後に引き起こされる二次被害を防止するために、災害におけるドローンによる活動支援を含めた光地区消防組合との消防応援協定書の再締結を通じて当社の工場がある地域コミュニティーに貢献できることを嬉しく思う。

◆ドローンによる自動巡回の導入を主導した山口健一光工場EHS室長のコメント
 当社は、すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために、データとデジタルの力でイノベーションを起こし、革新的な医薬品をお届けしていくことをお約束している。
 環境への負荷が低く、データやデジタル技術を組み込んだ自動飛行ドローンを、人による巡回を補強する形で活用することで、患者さんに革新的な医薬品を安定的にお届けする体制を整え、光工場で働く従業員と地域コミュニティーの安全確保に注力する。

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