アンジェスは24日、アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)において、希少遺伝性疾患の検査業務拡大に向けた「遺伝学的検査」の技術を確立し、本年冬に「遺伝学的検査」受託を開始すると発表した。
ACRLは、希少遺伝性疾患検査を主目的とした衛生検査所で、2021年4月1日より希少疾患の医療と研究を推進する会(CReARID)から「拡大新生児スクリーニング検査」であるオプショナルスクリーニングを受託している。
拡大新生児スクリーニング検査は、対象となる希少遺伝性疾患の可能性の有無を判断するためのデータを提供することを目的としたもので、ACRLでは2022年に年間約1万件の検査を実施している。
今回新たに技術を確立した「遺伝学的検査」は、スクリーニング検査の結果で疾患の疑いがある場合、また、発症した症状から該当の疾患である可能性がある場合に、該当の疾患かどうかを確定させる検査(確定検査)となる。
2021年から2年間のオプショナルスクリーニング受託を通して、国内ではスクリーニング検査と遺伝学的検査を異なる衛生検査所に依頼しなくてはならないという現状が、希少疾患診療に携わる医療関係者の大きな負担となっている。
そこで、ACRLでは、「スクリーニング検査から遺伝学的検査を一括して委託できるようになってほしい」という切実な要望に応えるべく遺伝学的検査(確定検査)の技術を確立して受託できる体制を整備。
希少疾患の可能性を探る「スクリーニング検査」から、どのような疾患なのかを判断する「遺伝学的検査(確定検査)」までをワンストップで提供する。
こうした体制の構築は、希少遺伝性疾患の早期発見・早期治療のプロセス効率を最大化できる点でも有効であると考えられている。 また、同社が米国 Eiger 社から導入し、現在承認申請中のゾキンヴィ(一般名:ロナファルニブ)の対象疾患であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー(PL)を対象とした遺伝学的検査(確定検査)の技術も確立した。
早ければ 2024年春からの検査開始を目指し、遺伝学的検査の受託に向けた準備を進めている。なお、ゾキンヴィは 2023年3月に希少疾病医薬品(オーファン・ドラッグ)に指定されている。
アンジェスは、今後希少遺伝性疾患の治療効果をモニタリングするバイオマーカー検査の確立に取り組み、希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査を実施できる体制の構築を進めていく。
なお、今回の確定検査技術の確立によるアンジェスの連結業績、財政状態への影響については、軽微である。今後、開示すべき事象が発生した場合には、速やかに開示する。