キイトルーダの併用療法 進行胃腺がんなどの一次治療P3試験で無増悪生存期間延長 MSD

 MSDは6日、キイトルーダとトラスツズマブおよび化学療法との併用療法について、HER2陽性の進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する一次治療のP3相KEYNOTE-811試験において、2つの主要評価項目のうち、無増悪生存期間(PFS)延長を達成したと発表した。
 独立データモニタリング委員会による事前に規定された中間解析に基づき、キイトルーダとトラスツズマブおよび化学療法の併用療法は、ITT解析対象集団において、プラセボとトラスツズマブおよび化学療法の併用療法と比較して統計学的に有意なPFSの改善が認められた。
 事前に規定されたPD-L1発現状況によるサブグループ解析では、ITT解析対象集団におけるPFSの改善は、PD-L1陽性(Combined Positive Score[CPS]≧1)の患者のみで確認された。試験に参加した患者の80%以上がPD-L1陽性であった MSDは、米国FDAとこの結果を協議しており、HER2陽性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんにおける現在のキイトルーダの適応をPD-L1陽性患者を対象として改訂するべく協力している。この結果は今後、さまざまな腫瘍関連学会で発表するとともに、世界中の規制当局へ申請する予定である。
 キイトルーダは、米国で2021年5月、HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する一次治療として、トラスツズマブ、フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法の承認を取得している。
 この適応はKEYNOTE-811試験の客観的奏効率(ORR)のデータに基づき、FDAの迅速承認を受けており、承認維持のために、検証的試験による臨床上の効果の確認および説明が必要となる場合がある。
 もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)についてもITT解析対象集団において、キイトルーダとトラスツズマブおよび化学療法を併用した群はプラセボとトラスツズマブおよび化学療法を併用した群と比較して、改善傾向が認められたが、統計解析計画で事前に規定した統計学的有意性の基準を満たさなかった。
 全生存期間は今後の解析で検証する。キイトルーダの安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験の結果と一貫していた。
 MSDでは、消化器がんの治療薬としてキイトルーダを評価する広範な臨床開発プログラムを実施しており、胃がん、肝胆道がん、食道がん、膵臓がん、大腸がんに対するキイトルーダの臨床試験を実施している。

◆Scot EbbinghausMSD研究開発本部クリニカルリサーチバイスプレジデントのコメント
 KEYNOTE-811試験で無増悪生存期間の有意な改善のデータが新たに得られたことは有意義である。そして、米国において迅速承認されたHER2陽性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの患者さんに対するキイトルーダの本併用療法の試験結果に、新たなデータが加わった。 キイトルーダによるレジメンを適切な患者さんに提供していくため、この結果を腫瘍関連学会や規制当局に提供していく。また、現在のキイトルーダの適応をPD-L1陽性の患者さんを対象として改訂するべく、FDAと協力している。

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