免疫プロテインが口腔環境に寄与 オルトと早稲田大学

日本スポーツ歯科医学会 ポスター発表の様子(左:学会パネル前、右:発表ポスター前)

 オルト(東京都)と早稲田大学は、免疫プロテインが口腔環境に寄与することを明らかにした。「アスリートが免疫プロテインを摂取することで与える影響について」の共同研究により、免疫機能強化の点でアスリートの口腔環境に寄与する可能性が示されたもの。
 オルトは、WEBメディア『免疫プロテイン研究所』を運営し、大人のための母乳をコンセプトに国内最高級クラスの免疫プロテイン「アイムプロテイン」の販売など健康食品・栄養補助食品事業を展開している。
 研究成果は、日本スポーツ歯科医学会第34回総会・学術大会(福岡県/福岡歯科大学50周年記念講堂 11/18,19開催)で発表された。
 一般的に適度な運動は免疫機能を高め、感染症や癌の予防に有効とされる。一方、激しい運動やトレーニングは免疫機能を弱め、全身性の炎症反応が惹起され、炎症、免疫力の低下、臓器傷害が引き起こされてしまう。
 そこで、同共同研究では、女子バドミントン選手を対象に免疫プロテイン「アイムプロテイン」を8週間摂取してもらい、運動誘発性の免疫反応に及ぼす影響についての解析を行った。
 具体的には、唾液中S-IgA(分泌型免疫グロブリンA)の変動を観察した。唾液中S-IgA(分泌型免疫グロブリンA)は、感染の原因となる病源菌やウィルスなどが体内に侵入するのを阻止して、病源菌がつくる毒素などを中和して体を守る役割がある。
 クロスオーバーの臨床試験でアスリートが免疫プロテインを摂取すると「唾液中S-IgA(分泌型免疫グロブリンA)」と「腸内の酢酸」の濃度が相関して上昇する結果が得られたので、免疫機能強化の点でアスリートの口腔環境に寄与する可能性が示唆された。
 最近、腸内細菌の主要代謝物で、短鎖脂肪酸の一種である「酢酸」が、S-IgA濃度を増加させることで、腸内細菌の制御に関与していることが他の研究者からも報告されおり、同研究でもこの知見を支持する結果となった。
 通常、プロテインは腎臓のろ過機能に負担をかけるとの通説があるが、オルト・早稲田大学・九州大学が共同研究した結果では、免疫プロテインは運動由来の腎機能低下を抑えることが明らかになった(2020年3月にBiomedicines誌に掲載)。
今回の研究では、免疫プロテインを飲むことによって、免疫の指標である唾液中S-IgA(分泌型免疫グロブリンA)と「腸内の酢酸」の濃度が相関して上昇し、免疫機能が強化されることがわかった。

日本スポーツ歯科医学会 ポスター発表会場の様子

 これまでの研究で「運動由来の臓器のダメージ軽減」「アスリートの体に負担を伴わない非侵襲的(採血などの体への物理的負担がない)試験方法の有用性」の他、「アスリートが安心して使えるアンチドーピング認証の取得」などアスリートの負担軽減に関連する研究や活動に取り組んできた。
 今回の研究で「免疫プロテインがアスリートの免疫機能を強化する」ことが明らかになったため、今後、免疫機能強化のメカニズムを追究していく。

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