新規ユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤の作用メカニズム解明 医薬基盤・健康・栄養研究所、住友ファーマ

 医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOH)と住友ファーマは28日、新規ユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤の作用メカニズムを解明したと発表した。
 同研究は、NIBIOH、住友ファーマ、国立感染症研究所の共同研究グループが取り組んでいるもので、幅広いインフルエンザウイルスに対する予防効果を持つ「ユニバーサルインフルエンザワクチン」開発を目的としている。
 今般、同グループで TLR7アジュバント「DSP-0546LP」を添加して作製した新規の「ユニバーサルインフルエンザワクチン」候補製剤について、①種類の異なるインフルエンザへの強い予防効果(交差防御活性)確認、②その作用メカニズムを解明、③TLR7アジュバント「DSP-0546LP」添加の重要性を初めて示した。
 これらの研究成果は 、 6月15日付の国際学術雑誌『Vaccine』オンライン版に掲載された。
 従来のインフルエンザワクチンは、ウイルスの変異により効力を失うため、毎年流行すると予測された変異株にあわせてワクチンを製造・接種する必要があり、さらには、新型インフルエンザに対応することは困難である。
 そのため、季節性インフルエンザに対して幅広く持続的な効果を持ち、パンデミックに発展する可能性のある新型インフルエンザにも対応できる「ユニバーサルインフルエンザワクチン」の実用化が求められている。
 同研究グループは、幅広いインフルエンザウイルスに対する効果が期待される膜融合型ヘマグルチニンを抗原とし、アジュバントとして DSP-0546LPを添加したワクチン候 補 製 剤 (DSP-0546LP添加製剤)の研究開発を進めている。
 同研究では、この DSP-0546LP 添加製剤について、インフルエンザ感染マウスモデルを用いた交差防御活性および詳細な作用メカニズム(図 1)を解析した。

 マウスに膜融合型ヘマグルチニン抗原を接種した際の免疫応答を評価した結果、次の事項が明らかになった。
i)DSP-0546LP 添加製剤は非添加製剤と比較して、交差反応性抗体を強く誘導する。

ii)DSP-0546LP 添加によって、Th1 型免疫反応(すなわち抗原特異的な IFN-γ産生ならびにIgG2c 抗体の産生)を強く誘導する。

iii)DSP-0546LP はワクチン株と種類の異なるインフルエンザウイルスに対する抗体依存性細胞障害(ADCC)活性を強める。

iv)DSP-0546LP 添加製剤によって誘導される抗体には異なる型のインフルエンザウイルスに対する有意な中和活性は認められない。

 続いて、マウスを用いて、ワクチン株と種類の異なるインフルエンザウイルスへの感染試験を行い、DSP-0546LP 添加製剤が種類の異なるインフルエンザウイルスにも予防効果(交差防御効果)を有するか検討した。
 試験の結果、膜融合型ヘマグルチニン抗原のみのワクチン製剤は十分な感染防御作用を認めなかったが、DSP-0546LP 添加製剤は優れた感染防御活性を示した。
 これらの結果から、「DSP-0546LP アジュバント」は機能性抗体の誘導において重要な役割を担っていることが明らかになった。また、同研究グループが開発を進めている新規「ユニバーサルインフルエンザワクチン」候補製剤の強い交差防御効果は、異なる種類のインフルエンザウイルスに対する中和抗体の産生誘導によってではなく、Th1型免疫反応の誘導を介した抗体依存性細胞障害(ADCC)活性によることが示唆された。
 同研究成果は、 DSP-0546LP 添加製剤のコンセプト(図 2)を証明する重要な非臨床研究結果であり、「ユニバーサルインフルエンザワクチン」の実用化に向けて大きな一歩となった。早期実用化のために、引き続き研究開発を推進する。

 なお、同研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)および新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業の支援を受けて実施された。NIBIOHNおよび住友ファーマは、AMEDのCiCLEに係る研究開発課題「万能インフルエンザワクチンの研究開発」において共同研究を実施している。

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