atogepant 慢性片頭痛予防効果のP3試験で好結果 アッヴィ

 アッヴィは29日、経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬「atogepant」について、成人の慢性片頭痛の予防効果を評価するP3試験(PROGRESS試験)において、慢性片頭痛に対する予防効果に関する良好なデータを得たと発表した。
 主要評価項目である12週間の投与期間を通した1カ月あたりの平均片頭痛日数が、60 mg 1日1回投与 (QD)および30 mg 1日2回投与(BID)の両群でプラセボ群と比較してベースラインから統計学的に有意な減少を示したもの。
また、同試験では、atogepant 60mg QD群および30mg BID群で、多重比較の調整後、すべての副次評価項目において統計学的に有意な改善が認められた。
 このP3相、国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験は、慢性片頭痛の予防療法としてatogepantを経口投与したときの有効性、安全性および忍容性を評価するために実施された。
 慢性片頭痛は、3カ月以上にわたり1カ月あたり15日以上頭痛があり、そのうち1カ月に8日以上片頭痛の特徴を有する頭痛が認められる慢性神経疾患である。
 慢性片頭痛に罹患して1年以上の患者合計778人をatogepant 60 mg QD群、atogepant 30 mg BID群またはプラセボ群の3つの投与群のいずれかにランダムに割付けした。
 有効性解析は、米国および欧州連合の規制当局からの助言を踏まえ、わずかに定義が異なる2種類の解析対象集団を用いて実施した。
 米国での申請を念頭に置いたmodified intent-to-treat(mITT)解析対象集団は、二重盲検期間に評価可能な頭痛日誌の電子データを提出した755人の患者で構成された。欧州連合での申請向けのoff-treatment hypothetical estimand(OTHE)解析対象集団は、二重盲検期間およびフォローアップ期間に評価可能な頭痛日誌の電子データを提出した760人の患者で構成された。
 mITT解析対象集団において、12週間を通してatogepant 60 mg QD群およびatogepant 30 mg BID群で1カ月あたりの片頭痛日数がそれぞれ6.88日および7.46日減少したのに対し、プラセボ群では1カ月あたりの片頭痛日数が5.05日減少した(プラセボ群との比較 60 mg QD群 p=0.0009、30 mg BID群 p<0.0001、多重性調整済み)。
 OTHE解析対象集団においては、12週間を通してatogepant 60 mg QD群およびatogepant 30 mg BID群で1カ月あたりの片頭痛日数がそれぞれ6.75日および7.33日減少したのに対し、プラセボ群では1カ月あたりの片頭痛日数が5.09日減少した(プラセボ群との比較 60 mg QD群p=0.0024、30 mg BID群 p=0.0001、多重性調整済み)。
 同試験では、両方の有効性解析対象集団においてatogepant 60 mg QD群およびatogepant 30 mg BID群のいずれも、すべての副次評価項目で統計学的に有意な改善を示した。
 主要副次評価項目は、12週間の投与期間を通して1カ月あたりの平均片頭痛日数が50%以上減少した患者さんの割合とした。mITT解析対象集団において、atogepant 60 mg QD群およびatogepant 30 mg BID群でそれぞれ41.0%および42.7%の患者が50%以上の減少を達成したのに対し、プラセボ群では26.0%であった(プラセボ群との比較 全投与群 p≦0.0009、多重性調整済み)。
 OTHE解析対象集団においては、atogepant 60 mg QD群およびatogepant 30 mg BID群でそれぞれ40.1%および42.1%の患者が50%以上の減少を達成したのに対し、プラセボ群では26.5%であった(プラセボ群との比較 全投与群 p≦0.0024、多重性調整済み)1。
 P3相PROGRESS試験の全体的な安全性プロファイルは、反復性片頭痛の患者さんを対象とした過去の試験で見られた安全性に関する知見と一致していた。
 最も高頻度(少なくとも1つのatogepant群において5%以上、かつプラセボ群より高い割合)で報告された有害事象は、便秘(atogepant 60 mg QD群で10.0%、atogepant 30 mg BID群で10.9%、プラセボ群で3.1%)、悪心(atogepant 60 mg QD群で9.6%、atogepant 30 mg BID群で7.8%、プラセボ群で3.5%)であった。
 便秘および悪心の大部分が軽度または中等度であり、投与中止には至りませんでした。肝臓に関する安全性の問題は認められなかった。重篤な有害事象が認められた患者は、atogepant 60 mg QD群で2.7%、atogepant 30 mg BID群で1.6%、プラセボ群で1.2%であった。これらの治験薬投与下の有害事象のうち、治験担当医師により治験薬に関連すると判定されたものはなかった。
 これらのデータは、atogepantの反復性片頭痛に対する予防効果を評価したP3相ADVANCE試験の結果に基づいている。P3相ADVANCE試験の主要評価項目は、12週間の投与期間を通した1カ月あたりの平均片頭痛日数についてプラセボと比較した際の統計学的に有意な減少であった。
 慢性片頭痛を対象としたP3相PROGRESS試験の結果に基づき、atogepantの適応を慢性片頭痛予防へ拡大するため、アッヴィは米国FDAへ適応追加申請を行う予定である。
 また、P3相PROGRESS試験および反復性片頭痛を対象としたP3相ADVANCE試験の結果を根拠として、世界各国において承認申請を行う予定。
 米国で、atogepantを慢性片頭痛の予防治療薬として使用することは承認されておらず、その安全性および有効性は規制当局により評価されていない。米国外でatogepantを反復性片頭痛および慢性片頭痛の予防治療薬として使用することは承認されておらず、その安全性および有効性は規制当局により評価されていない。

◆アッヴィvice chairman兼presidentのMichael Severino M.D.氏のコメント
 アッヴィは、12年近くにわたる慢性片頭痛に関する知見を持つ。片頭痛患者さんの症状はひとり一人異なるため、医療従事者が多様な治療選択肢を持つことが重要である。
 今回得られたデータと今後の承認申請は、世界全体で10億人を超える片頭痛の患者さんのために当社の先進的な片頭痛ポートフォリオの進展に向けた取り組みをさらに確実なものにしていく。
 今後は、成人の慢性片頭痛予防に対する米国でのatogepantの適応拡大を目指すと同時に、世界各国においても規制当局と協力し承認申請を進めていくことを楽しみにしている。

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