コラテジェンの条件解除に向けた承認申請に期待 森下竜一阪大寄附講座教授・アンジェスメディカルアドバイザー

森下氏

 大阪大学大学院医学系研究科寄附講座教授でアンジェスメディカルアドバイザーの森下竜一氏は、5月31日にアンジェスが行ったHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」の条件解除(正式承認)に向けてた承認申請について、「1999年のアンジェス設立以来手がけてきた主力のプロジェクトが、実用化に向けて大きく推進した」と語気を強める。
 コラテジェンは、HGFの血管を新生する作用を利用し、世界初のプラスミドDNA技術を用いた治療用製品として、慢性動脈閉塞症の下肢潰瘍の改善を効能・効果に2019年3月、厚労省から条件及び期限付製造販売承認を取得し、国内初の遺伝子治療用製品として同年9月に田辺三菱製薬より発売された。
 条件及び期限付承認制度は、2014年11月施行された改正薬機法で導入された遺伝子治療を含む「再生医療等製品」に対する早期承認制度だ。施行当時、iPS細胞等の再生医療が革新的な医療として実用化に向けて期待が高まっていた。だが、その一方で再生医療等製品は人の細胞等を用いるために品質が不均一で有効性の予測が困難な場合があり、安全性を確保しつつ迅速な実用化を図らことを目的に、「有効性が推定され、安全性が認められた再生医療等製品」を条件や期限を付けた上で早期承認する制度が設けられた。
 条件及び期限付承認の取得後は、使用成績調査や製造販売後データベース調査、製造販売後臨床試験を計画・実施し、原則として7年を超えない範囲で、有効性や安全性を検証した上で、期限内に再度承認申請して条件解除(正式承認)を取得するよう定められている。
 今回、アンジェスは、発売時より実施してきた製造販売後承認条件評価の使用成績比較調査での集計結果が、従前申請のP3治験結果の再現性が確認できたと判断し、条件解除に向けて申請を行ったもの。 安全性に関しても、P3試験と同様の結果が得られ、特に重篤な副作用等は認められなかった。
 加えて、市販後の多数の患者を対象とした特定使用成績調査においても、「既存の保存療法では治療困難な症例に対してコラテジェンが有用性・安全性を示したため、条件解除(正式承認)に向けた承認申請が実施された。ちなみにコラテジェンのP3試験のエンドポイントは「潰瘍の改善率」であり、今回も再現されている。
 森下氏は、「正式承認」に期待を寄せると共に、今後のコラテジェンの開発戦略にも言及し、「新型コロナワクチンでのプラスミドDNAの安全性等の結果から安全性の高さが判ってきた。従って、より多い用法・用量でさらなる適応拡大を進めて行きたい」と話す。
 さらに、高用量の具体例として、「現在米国で実施されているP2b試験の投与方法(1回8mg、4回投与)」を挙げ、「国内投与量(1回4㎎、2~3回投与)」では、安静時疼痛について有効性が得られず一旦開発中止したが、潰瘍への投与量の4~5倍に増量すれば有効性を示せる」と予測する。
 その上で、「アンジェスと相談しながら、安静時疼痛や難治性潰瘍(表皮症、強皮症など)の適応拡大に尽力したい」と抱負を述べた。

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