遺伝性血管性浮腫患者のQOLを可視化するAE-QoLビジュアライザー導入 武田薬品

AE-QoLビジュアライザー入力画面

 武田薬品は7日、医療関係者向けウェブサイトの遺伝性血管性浮腫(HAE)領域のコンテンツとして、HAE患者さんのQOL(生活の質)を可視化できるAE-QoLビジュアライザーを導入したと発表した。
 HAEは腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患だ。
 浮腫が喉に発症した場合は、気道がふさがり呼吸困難を起こし、窒息死する危険もある。世界中で5万人に1人が罹患していると推定されており、日本には2000人から3000人の患者が存在すると推定されている。
 だが、疾患に対する日本での認知度は低く、診断されている患者は約450名に留まっており、多くの未診断の患者の存在が考えられている。
 HAEの発作は、いつ起きるのか予測することが難しいだけでなく、発作が起きた際は学業や仕事に影響を及ぼすことも多く、患者のQOLに影響を与えている。
 急性発作は、急性発作治療剤により治療することが可能であるが、発作が収まった後も次にいつ発作が起こるかわからず不安に感じたり、外出を控えたりする患者がおり、発作が起きていない時でもQOLに影響を及ぼしている。
 一方で、患者は受診時には浮腫などの症状がないことが多く、医師は患者への問診から病勢やQOLの障害の程度を推察する必要がある。また、詳細な問診の限られた診察時間内での実施は実際の臨床現場では難しいことが報告されており、QOLに関して十分に把握するのは困難であると推察される。
 そのためにもデータを明確に数値化し見せることは重要であると考えられる。
 AE-QoL(angioedema quality of life questionnaire)は、HAEの患者のQOLを測る指標として確立されたものだが、数値化するのに手間がかかる。AE-QoLビジュアライザーは、患者が記入した日常生活への影響などQOLに関連する質問への回答を基に主治医が必要項目を入力することで、QOLを簡単に数値化するだけでなくグラフ化することも可能な医師が無料で使用できるツールだ。

グラフ化されたQOLの時系列変化

 患者は、主治医から数値やグラフでQOLに関して説明を受けることで、QOLに対して自身が抱いている思いを主治医に伝達でき、不安を和らげられる。
 また、HAE診療のためのWAO/EAACI国際ガイドライン(2021年版)でも、HAEの治療目標として疾患コントロールおよび患者の生活の健全化が挙げられており、HAE診療におけるQOLの評価は極めて有用と考えられている。

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