早老症治療剤「ゾキンヴィ」 国内製造販売承認申請 アンジェス

 アンジェスは12日、乳児早老症のハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)およびプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー(PL)治療剤「ゾキンヴィ」(一般名:ロナファルニブ)について、同日、厚労省に国内製造販売承認申請を行ったと発表した。
 「ゾキンヴィ」は、アイガー社(本社:米国カルフォルニア州)が米国において 2020年11月に承認取得し販売された。その後、アンジェスが 2022年5月に日本における独占販売契約をアイガー社と締結し、2023年3月に厚労省により希少疾病医薬品(オーファン・ドラッグ)に指定された。同剤は、2022年8月に英国でも承認されている。
 HGPSとPLは、それぞれが大変希少な致死性の遺伝的早老症であり、若い時点から死亡率が加速度的に上昇する。HGPSは、LMNA 遺伝子の点突然変異により、ファルネシル化された変異タンパク質のプロジェリンが生成されることにより発症する。
 PL は、LMNAやZMPSTE24 遺伝子の変異により、プロジェリンに類似したファルネシル化タンパク質が生成され、老化が促進される。いずれの病型ともに、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症、脱毛症、関節拘縮、骨格形成不全、動脈硬化の促進などの早老症状が現れ、動脈硬化性疾患(心筋梗塞あるは脳卒中)により若年期に死亡するとされ、HGPSの平均年齢は 14.5歳と報告されている。
 ゾキンヴィは、HGPS やプロセシング不全性のPL の小児及び若年成人において、核膜の構造・機能を損なうファルネシル化された変異タンパク質(核の不安定化と早期老化を惹起)の蓄積を阻害する。
 ファースト・イン・クラスの疾患修飾剤であり、小児及び若年成人のHGPS 及びプロセッシング不全性のPLにおいてその薬効が検討された。
 その結果、HGPS の患者において、ゾキンヴィは死亡率を60%減少し(p=0.0064)、平均生存期間を 2.5 年延長した(p<0.0001)。多くの患者は、10 年以上にわたってゾキンヴィ治療を継続しており、最も多く報告された副作用は消化器系(嘔吐、下痢、悪心)で、そのほとんどが軽度又は中等度(グレード 1 又は2)である。
 アンジェスでは、日本国内においてゾキンヴィの使用が見込まれる患者数は数名程度と見込んでいる。

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