「ドライアイ患者と医師の治療に関する意識調査」で患者の疾患認識の低さが浮き彫りに ルミナス・ビー ジャパン

 ルミナス・ビー ジャパンは、ドライアイの治療を受けている患者500人とドライアイ治療を行っている眼科医(クリニック、診療所、眼科医院)100人を対象に実施した「ドライアイ治療に対する意識と現状」の調査結果を発表した。
 調査結果では、ドライアイは、「空気の乾燥や寒暖差など気候や環境の変化で悪化する」(患者46% 医師の85%)、「コンタクトレンズの装用で悪化する」(患者さん25% 医師81%)、ドライアイの要因とされる「マイボーム腺機能不全」は84%の患者が認
識せずと答えており、ドライアイ患者の疾患認識の低さが浮き彫りになった。
 また、「保険診療でなくても、症状が改善されるのなら新しい治療を受けたい」と希望する患者は42%に上り、新しい治療への期待も高かった。
ドライアイの有病率は、ドライアイの定義によって研究ごとに異なるが、日本での40歳以上の住民を対象にした大規模疫学調査(Koumi Study)では、男性 12.5%、女性 21.6%と報告されている。
 ドライアイは、「目の不調はあるものの、失明につながるような重篤な疾患ではない」と思われがちな疾患であるが、放置すれば実用視力の低下や角膜感染症の発症などに加え、慢性的な目の不快感や疲れが心身に大きな負担を与えQOLを著しく低下させる場合もある。
 同調査では、ドライアイ患者さんと治療する医師の認識の差に焦点を当て、ドライアイの新しい治療に向けての課題を探った。
 調査結果からは、患者の23%が「現在受けているドライアイの治療に不満足」であり、約87%が「適切な治療をしても改善されない疾患」と回答した。ほとんどの患者が治療効果をさほど期待しないまま治療を続けている現状が浮かび上がってきた。
 その一方で、「ドライアイの症状を改善する治療が保険診療や自由診療だった場合、その治療を受けてみたい」患者も42%おり、新たな治療への期待もうかがえた。
 また、「ドライアイ症状を引き起こす要因」や「症状を悪化させる要素」、「ドライアイを放置した場合のリスク」などのドライアイの疾患について、患者と医師では認識に大きな隔たりがみられた。
 昨今、「マイボーム腺機能不全を伴うドライアイが実に約86%を占める」という研究データをもとに新しい治療も行われるようになってきたが、医師の82%が「マイボーム腺機能不全」を認知しているものの、患者の84%が「知らない」と回答。全体を通して、患者の疾患についての知識不足やリスク認識の低さが浮かび上がる結果となった。
 同調査では、患者と医師との疾患認識に大きな差があり、患者のドライアイの理解が十分でないことなどが浮き彫りになった。
 ドライアイは、適切な治療により症状を改善できる疾患である。患者の半数近くが新しい治療方法に期待していることからも、患者と医師がコミュニケーションを円滑に行い、患者に対するドライアイの正しい知識の周知がますます重要となりそうだ。
 調査結果の要約、詳細は、次の通り。

【調査結果の要約】

1、現在のドライアイ治療の患者さん満足度 ―23%が現在の治療に不満足―

患者の78%がドライアイの治療期間が3年以上。治療の主流は点眼治療(医師:100% 患者95%)であった。医師の90%は、「患者が現在の治療に満足している」とする一方で、現在の治療に「不満を感じている」患者は23%であった。

2、ドライアイについての疾患認識 ―医師と患者さんの認識に大きな差―

・「適切な治療で症状が改善すると思う」は患者の22%のみ

ドライアイは「適切な治療で症状が改善する」と回答している医師は78%であるにも関わらず、患者では22%に過ぎない。加えて、「慢性疾患なので完治することはない」と回答した医師は51%であるのに患者では19%と、やはり医師と患者の間に大きな認識の差が見て取れ、ここからもドライアイが正しく理解されていないことがわかる。

・ドライアイを放置した場合のリスク ~低い患者さんのリスク認識~

「実用視力が低下する」(患者56% 医師83%)、「角膜上皮障害や角膜上剥離を発症することがある」(患者30% 医師83%)、「目の疲れによる心身の不調」(患者55% 医師76%)というように、患者のリスク認識の低さが目に付いた。

・ドライアイの疾患に関わる知識について ~患者の疾患知識の低さが浮き彫りに~

ドライアイは、「スマホやPCで目を酷使するためにおこる現代病」(患者67% 医師72% )また、「加齢による目の疾患」(患者51% 医師60%)という点では、医師と患者ともに共通の認識であるものの、ドライアイは、「空気の乾燥や寒暖差など気候や環境の変化で悪化する」(患者46% 医師85%、)、あるいは、「コンタクトレンズの装用で悪化する」(患者25% 医師81%)、「ストレスもドライアイの要因の一つ」(患者36% 医師67% )など、疾患についての患者の認識の低さが浮き彫りになった。

・医師からのアドバイスを、患者はきちんと聞いていない?

医師の85%が、ドライアイは「気候や環境の変化で悪化する」と回答しており、医師からの症状改善に向けたアドバイスは「部屋が乾燥しないようにする」(83%)が最も多く、次いで「処方された点眼薬を毎日、きめられた数点眼をする」(75%)であった。
 だが、患者が医師からのアドバイスとして挙げたのは、「処方された点眼薬を毎日、きめられた回数点眼をする」(56%)、「目を使いすぎないようにする」(44%)などで、総じて患者の回答割合が低いことが目に付き、多くの患者が、医師のアドバイスがしっかり受け止められていない様子が見て取れる。

・マイボーム腺機能不全の認識は? 医師の82%が認知、一方、患者は17%のみ

医師の82%が「内容まである程度知っている」が、患者の84%は「知らない、初めて聞いた」と回答。ドライアイとの違いについても、74%の医師が理解しているものの、患者の67%が「知らない」と回答。ドライアイ治療に関する情報が、患者にはほとんど周知されていないことが窺える。

3、新しい治療方法 ―患者の42%が受けてみたいー

「ドライアイの症状を改善する治療が保険診療ではなく自由診療だった場合、その治療を受けてみたい」と希望する患者は42%。治療の満足度別にみると、「治療を受けたい」と回答した患者は、現状の治療に不満をいだいている患者では49%、現在の治療に満足している患者でも39%に及んだ。

【調査結果の詳細】

1.ドライアイの症状での悩み事

患者の半数以上が「目が乾いた感じがする」、「目が疲れやすい」、「目がしょぼしょぼ、ごろごろする」という症状を抱えており、75%の患者が「目が疲れやすい」ことに悩んでいる。

2、どのような時にドライアイが悪化するか

ドライアイの症状が悪化するのは、患者の半数が「長時間、液晶画面を見ていた時」「冬の暖房による乾燥」と回答。

3、現在受けているドライアイ治療の満足度 ~患者と医師の比較~

現在の治療(点眼治療)について、患者の治療満足度は76%であるのに反して、医師が感じている患者の点眼薬に対する治療満足度は90%に及んでおり、患者と医師で差が見られる。

4、ドライアイについての認識  ~患者と医師の比較~

ドライアイについては、「コンタクトレンズの装用により悪化する疾患」「適切な治療により症状は改善される疾患」という疾患認識の点で56%、「空気の乾燥や寒暖差など気候や環境の変化で悪化する疾患」は39%、「ストレスもドライアイの要因の一つ」でも31%と、患者と医師の認識に大差があることがわかった。患者の知識の低さや関心の薄さともいえる。

5、ドライアイを放置した場合のリスク認識 ~患者と医師の比較~

ドライアイを放置した場合、「角膜上皮障害や角膜上皮剥離を発症することがある」と認識している患者は30%。また、「日常生活における平均的な視力(実用視力)が低下する」ことを認識している患者でさえ56%に過ぎない。

6、ドライアイが悪化するとき

ドライアイの症状が悪化したと感じているのは、患者の半数が「長時間、液晶画面を見ていた時」「冬の暖房による乾燥」と回答。

7、医師のアドバイス ~患者と医師の比較~

ドライアイの症状を改善するために83%の医師が「部屋が乾燥しないようにする」ことをアドバイスしているが、患者では26%しか、同様のアドバイスを受けたという認識がない。

8、マイボーム腺機能不全についての認識 ~患者と医師の比較~

「マイボーム腺機能不全」について知っている患者はわずか17%であった。

9、新しい治療への期待

現在の治療に満足している患者の39%が「ドライアイの症状を改善する治療があるが、保険診療ではなく自由診療だった場合、その治療を受けてみたい」と回答。治療に満足していない患者では「治療を受けたい」という意向は 49%に上る

タイトルとURLをコピーしました