リムパーザとアビラテロンとの併用療法 転移性去勢抵抗性前立腺がん一次治療で欧州連合の承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは16日、リムパーザとアビラテロンとの併用療法について、化学療法が臨床上適応とならない転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の成人患者に対する治療薬として、欧州連合での販売承認を取得したと発表した。
 欧州委員会による今回の承認はP3相 PROpel 試験の結果に基づくもので、2022 年11 月の欧州医薬品評価委員会による欧州連合での肯定的な勧告に従っている。
 同試験において、リムパーザとアビラテロンおよび Prednisone/プレドニゾロンの併用療法は、アビラテロンと Prednisone/プレドニゾロンの併用療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを34%低下させた(ハザード比 0.66、95%信頼区間 0.54-0.81、p<0.0001)。
 また、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値は、アビラテロン単独群の16.6 カ月に対し、リムパーザとアビラテロン併用群では24.8カ月であった。
 さらに、事前に規定されていた盲検下での独立中央判定(BICR)による rPFS 解析では、rPFS 中央値は、アビラテロン単独群の16.4 カ月に対し、リムパーザとアビラテロン併用群では 27.6 カ月となり、rPFS 中央値のほぼ1年間の延長が示された。
 なお、ESMO 2022で発表された事前に規定された2 回目の解析から得られた最新の結果からは、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、アビラテロン単剤療法との比較において全生存期間の延長傾向が示されたが(ハザード比 0.83、95%信頼区間 0.66-1.03、p=0.11)、データカットオフ時点(イベント発現割合が 40%時点での解析)では、統計学的に有意な差は認められなかった。
 欧州において、前立腺がんは男性では最も多いがんであり、2020年には推定 47万3000人の患者が診断され、10万8000人が死亡した 。mCRPC患者の全生存期間は、臨床試験では約3 年で、実臨床ではさらに短くなることが報告されている。
 mCRPC 患者の約半数は、積極的治療として一次治療しか受けられず、後治療の効果は低下する。
 一方、PROpel 試験におけるリムパーザとアビラテロンの併用療法の安全性および忍容性は、過去の臨床試験で観察されたものおよび個々の医薬品の既知のプロファイルと一貫していた。
 リムパーザとアビラテロンの併用療法を受けた患者では、アビラテロンの投与中止割合の上昇は認められず、アビラテロン単剤療法と比較して健康関連の生活の質(前立腺がん治療の機能的評価[FACT-P]質問票)への悪影響は認められなかったた
 8月に、米国で成人の mCRPC患者に対するリムパーザとアビラテロンおよび Prednisone/プレドニゾロンの併用療法る医薬品承認事項変更申請(sNDA)が受理された。処方箋医薬品ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査結果は、2023年第1四半期中になる見込みである。
 リムパーザは、P3相 PROfound試験結果に基づき、エンザルタミドまたはアビラテロンによる前治療後に進行した相同組換え修復(HRR)遺伝子変異を有するmCRPC(BRCA遺伝子変異陽性および他の HRR 遺伝子変異陽性)患者に対する単剤療法として米国で承認されている。
 欧州、日本および中国では、新規ホルモン製剤治療を含む前治療後に進行したBRCA遺伝子変異陽性 mCRPC 患者に対する治療として承認されている。
 なお、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)のアビラテロンとの併用療法におけるリムパーザの適応および Prednisoneは、本邦未承認である。

◆PROpel試験の上級治験担当医師のNoel Clarke氏(Christie/Salford Royal Hospitalsおよびマンチェスター大学泌尿器腫瘍学教授)のコメント
 P3相 PROpel 試験の結果は、一次治療としてのオラパリブとアビラテロンの併用療法が転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんに大きな臨床的有用性をもたらす可能性があることを示している。
 欧州連合におけるこの疾患の患者さんに、今初めてこの新たな併用療法から効果を得る機会が訪れる。

◆Dave Fredricksonアストラゼネカエグセクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者のコメント
 多くの転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんは、病勢進行が速く、積極的治療として一次治療しか受けられない可能性がある。
 PROpel試験において、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、標準治療と比較して、病勢進行のリスクを34%低下させた。
 さらに、一次治療としてのリムパーザとアビラテロンの併用療法は、リムパーザ単剤療法による二次治療としての PROfound試験における患者さんの対象より、さらに幅広い転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんに対するリムパーザの使用が可能になる。
 本日の承認は、欧州連合における転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんのアンメットニーズへの対処に向けての大幅な進歩を示している。

◆Eliav Barr MSD研究開発本部のグローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーのコメント
 MSDは、より多くの治療を緊急に必要とする複雑な疾患である転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんのための新たな治療選択肢を開発することに取り組んでいく。
 欧州委員会による今回の承認は、その取り組みを果たすことへの新たな一歩を示しており、リムパーザの効果が欧州連合におけるより多くの転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに拡大されることを期待している。

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