武田薬品は26日、20%皮下注用人免疫グロブリン製剤について、無又は低ガンマグロブリン血症を予定する効能効果として、厚労省に対し製造販売承認申請を行ったと発表した。
20%皮下注用人免疫グロブリン製剤は、原発性免疫不全症候群(PID)や続発性免疫不全症候群(SID)と診断された成人及び小児患者における感染予防を目的として、開発されたヒトIgGを20%含有する皮下注用ヒト免疫グロブリン(Ig)製剤である。
同剤は2016年7月にノルウェー、英国及びドイツなどの欧州数ヵ国で、同年9月に米国で承認されて以降、2022年5月までに30ヵ国以上で承認され、“CUVITRU”の商標で使用されている。
今回の製造販売承認申請は、主にPID日本人患者を対象としたP3相試験(NCT04346108)、およびPID患者を対象とした2つの海外臨床P2/3相試験(NCT01412385、NCT01218438)に基づくもの。
これらの試験において、20%皮下注用人免疫グロブリン製剤は無又は低ガンマグロブリン血症の治療薬として有効性と安全性が評価された。
無又は低ガンマグロブリン血症は、様々な要因により体内の免疫グロブリンが不足する状態である。体内で免疫グロブリンが全く作られない場合「無ガンマグロブリン血症」と呼び、正常の約20%以下しか作られない場合を「低ガンマグロブリン血症」と呼ぶ。
不足する要因は原発性と続発性に分けられる。原発性は先天的な抗体産生・抗体機能障害であり、さまざまな遺伝性疾患に起因する。
一方、続発性は血液がんなどの疾患および免疫抑制剤などの薬剤が原因として挙げられている。免疫グロブリンは、細菌やウイルスといった病気を起こす病原体などから、体を守るための物質であり、体内で免疫グロブリンが十分に作られない人は、免疫グロブリンが正常に作られる人よりも細菌やウイルスが起こす病気(感染症)にかかりやすくなる。
不足する免疫グロブリンを免疫グロブリン製剤の投与により補充することで、患者がさまざまな感染症にかかることを防ぐ効果が期待できる。
◆廣田直美武田薬品日本開発センター所長のコメント
免疫不全になると重篤な感染症を始め肺炎や敗血症なども繰り返しやすくなる。これらから患者を守るためには患者ニーズに合った適切な治療が重要であるが、現状ではニーズが十分に満たされていないと考えている。
30カ国以上で承認されている20%皮下注用人免疫グロブリン製剤を新しい治療選択肢として、少しでも早くお届けできる日を心待ちにしている。